第241回「人間・菅田将暉劇場」

 

 

 

 

世界が、「インスタ映え」に躍起になる者とそれを中毒だと冷笑する者で二分され始めた年。

第89回アカデミー賞授賞式の作品賞で「ムーンライト」と「ラ・ラ・ランド」が間違って読み上げられた年。

妙なフォームで塩を撒き散らす謎の外国人がSNSを席巻しだした年。

世間がドラマ「カルテット」により高橋一生さんの魅力に気づき出した年。

縄跳び大好き少年がリズムなわとびの発表会に赴いた年

ハンドスピナーめっちゃ回転していた年。

 

2017年4月、深夜1時。

「人間・菅田将暉劇場」の初演の幕は上がりました。

 

それは「宇宙の意志」によって決められた定め。

菅田将暉とリスナーの共鳴は、かのようにして、誕生したのです。

 

最近音楽にも手を出した顔の良い人気俳優が、わかりやすく1部にやってきた。

当時の評判といえば、こんなところでしょうか。

テレビに出れば、ミステリアスだ、謎だ、ベールだとパッケージされるこの男。

太宰治と芥川龍之介の違いも知らないし、本当のすき焼きの何たるかも弁えない、浪速のチンパン男であることである事が分かるのに、そう時間はかかりませんでした。

 

当時、この番組は最後に就活に悩むリスナーや、菅田将暉に伝えたい事があるリスナーのメールを読むゾーンがしっかりとあったのですが

菅田将暉をナメだした人間によるメールに追いやられて、いつの間にやらこのゾーンは自然に消滅。

「意中の女性を終電に間に合うように自然に送り帰し、その背中を見ながら静かにタマキンを爆発させる」というモテテクニックのメールを機に

この番組は音を立てて、明らかに様子がおかしくなりました。

 

それと同時に、「菅田将暉が持ち前の演技力で、何か良いことを言ってるようで、よく聴いたら何も言ってない」で好評を博していた

「何も言ってないジングル」は、いつのまにか「インデペンデンス・デイ」の演説のシーンをやるだけになったり

目の前の虫が新種か新種じゃないか聴くだけになったり、指の関節鳴らす鳴らせないみたいな話するだけになったり。

そうなったりして、このジングルも自然に消滅。

 

菅田将暉が連れて来たライトなリスナーに支持されていた100パー漫画も、なんか自然に消滅。

 

菅田将暉を支持する、これからのラジオを支える者達が住みよい環境は次々と開発され

もともと住んでいた者達の血が、どんどんと濃くなっていくような2年目を迎え、あとは5年目まで、だいたい同じでした。

 

菅田将暉は、どんなパーソナリティーだったでしょうか。

 

なんか白Tに「ケルティックな人生を」とか書いてめっちゃスベってたし

ヘリコプターで移動してもなおナメられてたし

目にゴミが入ったらウミガメになるし

最高齢のリクガメの繁殖のモノマネ上手いし

マグマとセックスできるって言うし

かと思ったら、時代読んでギャル神輿の話しなくなるし

2時間かけてオリジナル野球漫画の設定考えたら、全部「メジャー」が先にやってたから無かったことにするし

そういえば「ハイキュー」の話しなかったし

焼きたてジャパン!のヒューパンの説明できないし

3Aやってた時にテニプリ全部読んで来たのキモかったし

公開収録でリスナーが緊張してること「客重い」って言い出すし

定期的にカレーで過去イチ出たこと喋るし

ってか今思ったけど初期の放送写真5年前を加味しても画質悪すぎるし

多分ディレクターiPhoneじゃないやつで撮ってたんだろうし

急に画質向上するの、多分ここでディレクター変わったってわかるし

1年目のスタッフ総替え事件、未だにどの番組でも聴いたことないし

キックボードとか包丁とか色々プレゼントあげてきたのに、最後バナナだったし

そのバナナをあげるキッカケになった男と、中継車に乗り込んでNHKからニッポン放送まで走りながらラジオしてたし

あの時、仕事するの5回目で気まずかったらしいし、それが後のテニスだし

こんな調子の5年間でしたが、きっと寂しい気持ちにさせる夜はなかったことでしょう。それは、今回を除いてですが。

 

リスナーにとって、菅田将暉は、どんなパーソナリティーだったでしょうか。

 

JKが選ぶ好きなラジオ番組ランキング1位の男でしょうか。

プレゼントガチりすぎてキモキモくんでしょうか。

そう、プレゼントガチりすぎてキモキモくんです。

 

そういうわけで、チンパンで稚拙で卑猥で品性のカケラもない、かといって衝動だけで駆け抜ける、荒削りみたいな良さとかでもない

めっちゃ変なラジオも、その放送後記も、そろそろ終わり。

たった5年なのか、思わず5年もやってしまったのか。

とりあえずのお別れです。

また、色んな好きなラジオを見つけて、過ごされてください。

あなたなら、きっと見つかるはずです。

 

菅田将暉が最後に言った言葉を信じて、「ほな」の次を待ちましょう。

菅田将暉は本当のことを喋りますが、ラジオでは、もっと本当のことだけを喋る男です。

 

全241公演。刻みつけた物語。

菅田将暉のオールナイトニッポンでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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