【月イチ連載コラム:工藤大輝と偶像音楽論(通算 第13回)】

エモーショナル、いわゆる、エモさ。
意図的に出そうと思って出せるものではなく、その時その時リアルな感情から溢れ出るもの。
そのエモさを最も高い次元で所持し続けている5人。
そう、「持っている」ではなく「持ち続けている」というところが最大の凄さだということなんです。
自身でエモーショナルアイドロックと銘打ち、頑なに楽曲の方向をブレさせない強さと、ジャンルに負けないメンバーのモチベーションをしっかりと持っていて、ライブ映像を観て、激しい曲のパフォーマンスにも関わらず泣きそうになってしまうのはきっとそういう部分が画面越しに伝わってくるからなんだと思います。
そして最近の活躍は飛ぶ鳥を落とす勢い。
その勢いと周囲の変化は新曲のミュージックビデオからも伝わってきます。
○○○○○ / ベイビーレイズJAPAN
例えば、TV番組だったり、タイアップだったり。そういったチャンスをしっかりとモノに出来るのは何年も積み重ねたスキルと経験値と説得力あってこそ。
メンバー5人全員可愛いことは勿論、5人5様のキャラクター、バランスの良さ。本当に色んな複合的な理由を内包しながらも、説得力のある楽曲のリリースをし続けている。そんな前のめりかつ安定感抜群なグループを信頼し、好きになるのに時間はかからないですよね。
まず、特筆すべきは黄金センター林愛夏さんの歌唱力。好みでの判断基準を抜きにして、発声、表現力、テクニック、総合的にアイドル界ではトップクラスだと思います。声の作りがミュージカル系なのもロックという強めの声が必要なジャンルとマッチしています。
声質でいえば真夏さんだけでなく全員がそれぞれ異なっていながらもキャラの立った声質をしているので、曲中の「真夏さんリードソロ」→「全メンバーユニゾン」の流れでの声質の厚みと振り幅も心地良く感じます。
ダンスに関しては一貫してシンプルイズベスト。一人一人の立ち位置を把握しやすい位置関係と、歌っているメンバーを分かりやすくする為の移動と構成、サビに必ず入ってくる真似しやすい振付。これだけで言えば普通だと思われがちですが、楽曲が振り切っているからこそ、ケミストリーが起きるんじゃないかと思います。サビ終わりの「○○○○○だ!」の部分はカノンで腕を回して○を作るというモノですが、映像で見た時のインパクトが凄い。脳裏に焼きつく。
先日公開された新曲「僕らはここにいる」もそうなんですが、ベイビーレイズJAPANさんのMVは一貫して「ダンス」と「それぞれの顔」にフォーカスされていてとても観やすいです。どの曲を観ても分かりやすく親切。
そういった意味で言えば戦略や方向性はド直球の王道。しかし、その型にハマらないように楽曲や魅せ方でしっかりと他グループと差別化を図れているのがとても面白く、今後のリリースや企画、対バン含めライブなど、どういった形で進んでいくのかが予測不可能な分、ワクワクが止まりません。
と言うことで今回はこの辺で終了とさせていただきます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。したっけ。
文:工藤大輝