こどもに教えたいお金の話。一生懸命働いてお金を稼ぐということとは?

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日本人の子供たちに、お金の大切さを伝える本『こども お金の教科書』が先月末発売し、早くもセブンネットショッピング子供向け書籍の売れ筋ランキング1位になり話題となっています。allnightnippon.com編集部は、この本の著者・こばやしてるひろ氏に、お金の考え方、本書に込めた想いを伺っています。

前回のインタビューでは、「電子マネーを使ったお金の貯め方」「お年玉の使い方」「初詣の行き方」など、風水の視点も交えて教えてもらいました。二回目となる今回は、世界に比べ、お金について家族や友人と話すことがほとんどない日本人へのアドバイス、お金でどんなことができるのか、そもそもなぜお金を学ぶ必要があるのかを伺いました。

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編集部:年が明けました。最初の月、1月はお金と縁がある月なんですよね?

こばやし:大寒の日(今年は1月20日)は、1年間の金運の総決算といわれていて、1月は元々お金のことをすごく考えなくてはいけない大事な月です。日本では、お金お金というと「下品」「お金儲けの事ばかり考えてはいけません」と叱られがちだけど、こんなことを言うのは世界でも珍しい。日本人はお金の話をすることを嫌う国民性というのもあって、お金のことを勉強している子供はほとんどいない。僕が子供の時、世の中は大好景気でバブルと言われる時代だったけれど、その時でもお金の話はあまりよろしくないとされていました。海外では中学生から口座管理を習っているようなひとが多く、日本人が世界に出て行った時、完全に負かされてしまうのが心配ですね。

今年の1月20日はもうひとつ、“アメリカの大統領”が変わるという世界にとって凄く大きなニュースがあります。この出来事を、他の国のことだし、わたしたちには関係ないから、というひとには全く関係ないものとして終わってしまいます。「そうか!大統領が変わったんだな」と意識をして自分も変わろうと思うことが大事ですよね。次に就任するトランプさんを見てみてよ。今度の大統領は経済人だよ?しかも、2回も破産している!お金を常に考えろというわけではないけれど、こういう人達が世の中にはたくさんいるのは事実で、子供の頃から興味をもって触れ合うことは大事。

編集部:お金についてあまり学んでいない日本は、「世界」に比べて遅れているのでしょうか?

こばやし:よく勘違いされるのが、日本を世界基準にしようというと世界のために頑張らなくてはいけないのかと思いますよね。でも、実はお財布に現金を沢山持運べるくらい安全だったり、どこにでもATMが設置出来る環境があったり、電子マネーもしっかり普及していたり。実は、環境もマナーや礼儀作法も便利さも日本はある部分では世界一進んでいるのです。これだけの環境は歴史と教育と人柄や意識が長く続いているからこそのもの。

お金は「目に見えるお金」と「目に見えないお金」の2つに分けられます。「目に見えるお金」は現金で、「目に見えないお金」はデビットカードやクレジットカード、そして電子マネーと呼ばれています。日本人は、治安の良さから「目に見えるお金(現金)」を世界でも珍しいほどよく持ち歩く。強盗に襲われることも少ないから、現金を引き出すATMはそこら中にある。

アメリカやイギリスでこれだけのATMを設置したら、警備コストがかかって仕方ないよ?1万円引き落とすのに3,000円くらいの手数料がかかるかもしれない。だから他の国では、なくしたらなかなか手元に戻ってこない現金よりも、「目に見えないお金」を持ち歩いているんです。

現金は国によって考え方が違って、本当に扱いが難しいのに、日本人は現金を持ち歩きすぎ(笑)それだけ日本が安全な証拠だから素晴らしいことなのだけれど、日本独自のお金の使い方は壁になるから、2020年に向けて世界の人が入りやすくしてあげなくてはいけない。

お金は世界共通語で、世界はお金という価値と言葉でつながっています。英語が話せなくても、お金ならコミュニケーションツールとして会話ができる。でもあまりにもルールが違いすぎると不利になるのはどっちだと思う?この本を通して、それを教えてあげたいよね。

編集部:『こども お金の教科書』では“お金は世界共通”というフレーズが出てきますが、このキーワードは、YouTubeの視聴回数7000万回を超えるスペインにある銀行が作った一つの動画からヒントを得たのですよね?

こばやし:僕はこの5分30秒ほどの動画を見て感動して「お金は世界の共通語だ!」というキーフレーズが出てきた。

コントラバスを抱えた奏者が置いた帽子の中に、一人の少女がコイン(チップ)を入れる。すると、演奏が始まって一瞬にして街の広場にいた人々を笑顔に、幸せに溢れる空間を作った。あの女の子が帽子の中に入れたコインは、おそらく数十円くらいの銀貨。小さな子供が手にできるくらいの少ないお金で街中をウワァーっと巻き込んだ。

あの動画が作成された頃のスペインは、国が破綻するのではないかと心配されていた。国中に元気がなかった時に、銀行が「たった一枚のコインでも皆が元気になる」ということを伝えるために作ったオフィシャルなインターネット上での呼びかけだったんですよ。

ちょうどこの本のプロットを書いている時に動画を見たので、VISAさんとか大手企業さんに「この動画を見てください。たった一枚のコインで世界は変わります」と取材の依頼書を書いた。お金があるとこんなにも素敵なことを起こせる。だから一生懸命働いてお金を稼ぐのだという事を日本の子供たちに伝えたい、と。そうしたら「そうだよね、子供にお金のことを教えるのは大事だよねと」と言って皆さんが取材に応じてくれました。この本が出来たのは皆にあの動画を見てもらえたからです。

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編集部:特に家庭で、こういったお金について話すことがとても大事なんですよね?

こばやし:日本では中学や高校でお金のことを学んでいますが、ほとんどの人が教わった覚えがないと感じています。それはおそらく家庭でお金のことを考える機会が少なかったからだと思います。今年、せっかく『こども お金の教科書』というタイトルの本が出たわけだし、この本をきっかけに親御さんとお金の話をしてほしい。大人だからといってお金に詳しいとは限らないし、少なくとも今、中・高生の親御さんが子供の頃は電子マネーは無かったから、なんとなくを子どもに教えているフリをして、なるほど、と思うはず。

親子でお金について話すとなると、「この500円を稼ぐには働かなくてはいけないんだぞ!」「さっきあげたばかりの500円、もう使ったの?!何に使ったの!」と喧嘩になりがち。なんで子供は500円の無駄遣いで怒られるのに、大人になって数万円以上使っても怒られないのだとしたら、自分で稼いでいるか稼いでないかの違いだけ。口が立つ子だったら、じゃあパパの明細を見せてよ、なんて言われたら「買ってしまいました……」としか言えない(笑)大人も子供も一緒で、ついつい浪費して何にお金を使ったかを細かく思い出せません。

だけど、何でこういう使い方になったのかを見てみよう、という話し合いが出来れば怒り方も変わってくる。子供も、お父さんも頑張って働いているんだな、大人になったら働こう、とお金を稼ぐ人をリスペクトするかもしれない。

VISAの取材で面白かったのは、「45歳になってファイナンシャル・プランナーの資格を取りました。自分の子供にも資格を取らせます。知っていたら節約できることたくさんあります。ちりも積もれば何とやらですよ、無駄なお金をけっこう使っていますよ」という話。やっぱりお金のことは学んでいた方がいいんです。だって損をしてしまうからね。

お正月、ほとんどの子供がお年玉をらったと思います。中学生は一番浪費する年頃なのに、お小遣い・お年玉・お駄賃の3つの収入源しかなくて今一番つらいだろうね。バイトもできないし、お金なんてほとんど無いようなもの。我々大人がハードワークに耐えられるのは賃金が付いてくるから。中学生や高校生は受験に受かっても、自分に何かを買ったり、大人のようにお酒でお祝いすることもできない。自分を振り返ってみると中学2年が一番つらかったかも。

だけど、両親が守ってくれている間に、使えるお金に限度があることを考えながら電子マネーのポイントサービスを上手に活用して、どうすればお金が貯まるのか考えてほしい。そうやって買い物やお金の管理を積み重ねていくことで、お金を稼ぐことの重要さや自分なりのお金のスケジュール感覚が育ちます。

この本で一番伝えたいポイントは、学歴はさておき、お金は味方につけた方がいいよ、ということ。みんなが入りたいような会社の人が、お金のことを学んでおかないと損をする、と皆そう言っているのだから知っていた方がいいに決まっているんです。ぜひこのニュースを見ている人は、今年はお金のことを勉強してみようかな、と子供も大人も考える一年になればいいと思います。

編集部:ありがとうございました。

<「こども お金の教科書」>
https://7net.omni7.jp/detail/1106731820-1106731820?cateType=1&siteCateCode=002120

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