5/8 ランパンプスのANN0 #6

 

 

「5月8日 特別篇」



此処にあるのは、寺内ゆうきと小林良行の2人からなるお笑いコンビ「ランパンプス」が
58日の深夜に起こした、ある1つの奇跡の物語である。

ある人が見れば、それはひどくありふれ、粗末な出来事に思えるだろう。
そのあまねく事実を差し引いても、我々はこの日の出来事を「奇跡」と呼ぶ事に憚りを持たなかった。

楽観ではない。これを「奇跡」と呼ばず、この先にある人生の何を「奇跡」と認識すれば良いのか
一抹の不安がそこには横たわっていたからだ。これは悲観だ。
此処にあるのは、ある1つの、ただの、奇跡の物語である。


   


深夜3時、確かにあれは3時だった。
時報というものが鳴った。これは毎週鳴るのだ。
小林良行の母が喋り出す。これは誠、異例のことであった。

小林良行。良い行いと書いて良行。
グッドボーイになるよう母が願いを込めたのだろう。
その小林良行は釧路の小さな港町で生まれた。
母親はその町で「スリーサム」という小さな、しかしその小ささからくる寂しさのようなものは感じさせず
言うなれば親しみの持ちやすい、とてつもなく小さなスナックを経営していた。

スナックで酔いつぶれた客を介助する時とは違う、また別の優しくて暖かみのある、まろやかな声。
それが電波に乗って、小林の鼓膜をくすぐった。



「よっしーは、小さな頃から、お母さんの言う事を聞かないヤンチャな男の子でした。

そんなよっしーが夢中になって遊んでいたのが、

『ブロックを組み立てるおもちゃ』。時間を忘れて夢中で遊んでいたわよね。

よっしーが、上京する時、カバンの中にこっそりブロックを忍ばせたら

「こんなのおもちゃいらねーよ」って、怒られたことを、いまでも覚えています。


お母さんにとってよっしーは、

いつまで経っても「赤ちゃん」のような存在です。ずっとあなたが心配です。

でも、すべてが可愛くて、すべてが大好きです。

よっしー、お酒を飲みすぎに注意して、頑張ってくださいね。

そして、寺内さん、どうか、ウチの息子を捨てないでください。」







小林良行、よっしーは泣いていた。
それが悲しみから来るものでは無いなんて、説明も不要であった。

「おかあさん、おかあさん、どうして?」

本番前、小林良行がラジオのブースに入り、いつもの椅子に腰掛けた時
我々は小林良行を小林良行として迎え入れた。確かにそうだ。
しかし、母親の声を聴いて泣いていたのは、小林良行ではない。「よっしー」だった。

本人に予告無しで母親が電話で登場することを、人は「ドッキリ」と呼ぶであろうが
これもまた、ドッキリという殻に包まれた「1つの奇跡」だったのかもしれない。

母のメッセージが終わると共に、ブースにはChayの「恋のはじまりはいつも突然に」が流れた。
聞き馴染みのあるメロディーラインと黄色がよく似合うようなポップなアレンジ。
まるであの頃のように、惜しげも無く涙を流して笑うよっしーに、寺内ゆうきも思わず頬を緩ませた。

寺内ゆうき。彼はよっしーと「ランパンプス」というお笑いコンビを組んでいる。
2人が1組になって、今日で丸7年になるというところだ。
5月8日は彼等が「ランパンプス」になった日。
芸人の養成所で出会い、デートを重ねて、代々木公園で告白。よくある話だ。

そんなランパンプスの記念である今宵を、リスナーと繋がることに使いたいというのは2人からの申し出だった。
2人の大切な記念日に、リスナーと繋がり、此処にまた新しい記念日を産みたいのだと。
実に2人らしい提案のように思えた。

繋がるとはなんだろうか。時々考えてしまう。
電話をかけても「皆」にはなれない。「独り」がもう1つ増えるだけだ。
それって寂しいことだろうか?よっしーも想いを巡らせた。

その巡りの中で、リスナーと電話が繋がった。

「しもしも?」
「し...もしも。」

初対面だけど、初対面ではないような、妙な感じ。
リスナー達の声も、上ずった。

「もしかして、君はボインちゃん?」

沢山のリスナーに電話をかけた。

「就活に失敗したのはお前が童貞だから」

とにかく繋がりたい

「ねぇ、今、びっしょびしょ?」
「下着の色教えて」

大切な日を創りたい。

「しお?しおってどっちのしお?」
「ねぇ、近くに汁っけのあるものない?」

そのはずだった。

「カリ。」


畳み掛ける言葉責め。釧路くんだり都を知った男は、知らずの内、性に溺れていた。
躰も、心も、何もかもが、びっしょびしょ。よっしーは、淫靡な濡れキノコだ。
リスナーの火照った耳を、ぐちょりと音を立ててなぞって、突いて、突いて、掻き出して。

それが自分のあるべき姿で無いことくらい、よっしーですら、もう分かっていた。

霧の濃い森の中で、歓喜と悲哀の綱引きをしているような迷い子のよっしーは、微かな声で言った。

「おかあさん、本当はブロック持って行きたかったよ。」

その時、よっしーの頬を再び伝った涙が「喜怒哀楽」どの感情から来たものだったのか。
その時、彼は本当によっしーだったのか、はたまた小林良行であったのか。

個人か分人、偶像と虚像。
それは誰にも、分からない。


ブースの小窓から朝日が差す。世界は、5月9日になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ランパンプスのオールナイトニッポンZERO」はLINE LIVEでも生配信。
放送後には→アフタートーク←もあるので是非!

リスナーに電話でハードセクハラしまくったテレセ小林の姿を見るならLINE LIVEだ!!

 

【募集中のコーナー】
■5月8日 

コンビを結成した日「5月8日」をとっても大切にしているランパンプス。
アナタが大切にしている「日付」と
「その日の思い出」を箇条書きの形式で送ってください。
あなたの記念日と思い出に、2人が優しく寄り添います。 


<たとえば、、、> 

ボケ4、つっこみ4の合コン

芽生えたほのかな恋心

高鳴る胸の鼓動

思い切ってオレに連絡してくれたアイツ

震える手と声、必死に抑えて電話したアタシ

「代々木公園に来てくれ?」

『あ、ああ。別に、いいけど、、、』

「アタシとコンビ組んでくれませんか?」

『オレで、よかったら』

5月8日は、ランパンプス結成の日。


こんな感じでお願いします。

※現在、募集しているのは、そう、『5月』の思い出です。
※メールの件名は「5月8日」でお願いします。 

■メッコリーサ

あなたのメッコリーサを送ってもらうコーナーです。


<例えばメッコリーサ>


「お父さん!娘さんを僕にください!この通りです!お願いします!」

『お前なんかに娘はやらんぞ!』

「この通りです!お願いします!」

『やらんやらん!きょうは帰ってくれ!』

「この通りです!お願いします!」

『…いや、ゴメン。マジで帰ってくれ』

メッコリーーーーーサーーーーー!
文の中でメッコリーサして遊んじゃってください。


 全てのメールは... rp@allnightnipponcom まで!!

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