オリエンタルラジオ中田敦彦が語るラジオパーソナリティ論

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毎週水曜日午後6時から放送のニッポン放送「オリエンタルラジオ 中田敦彦のオールナイトニッポンPremium」。2時間半にわたる“本音”トークの中から、allnightnippon.com編集部が厳選した内容を、中田敦彦の“熱い語り”そのままに、毎週お届けする。

「オリエンタルラジオ 中田敦彦のオールナイトニッポンPremium」今週の“中田論” 第25回(3月20日放送分)

オリエンタルラジオ中田敦彦が語るラジオパーソナリティ論

ついに最終回を迎えたオリエンタルラジオ中田敦彦のオールナイトニッポンpremium。最後は中田が半年間限定のラジオに対する思いとラジオの在り方について語りました。

中田:テレビのバラエティ番組が始まった時だって「長く続けましょうね」って言うわけだし。オールナイトニッポンpremiumのような半年限定の番組っていうものをまずやったことがなかったのとそれを1人でやったことがなかった。だから何もかもが新鮮だったんですよね。元々このラジオはオリラジのオールナイトニッポンpremiumになる予定だったの。だけど藤森君がドラマとか映画とかで忙しくて。彼も大活躍してますから、もしかしたら藤森くんはNGかもしれないですと。そうなった時に、僕1人でもやらせてもらえるんだったらやらせていただきたいと言ったところ、ニッポン放送さんの粋な計らいで「いいじゃないか。心意気にかけよう」と。

もしかしたら心もとないところもあったと思うんですよ。ココリコさん、中川家さん、よゐこさん、Kis-My-Ft2でしょ。大騒ぎなわけじゃないですか。そんな中で僕だけ1人っていう。みんなコンビやグループの完成体なのに、僕だけ1人でいいのかっていうちょっとした不安もあったのかもしれないですけど、それが結果的に僕にとってはすごく新しい体験を与えてくれたんですよね。

僕ね、1人でラジオをやったらどうなるんだろうって全く想像できなかったんです。オリラジのオールナイトニッポンRか。二部で3〜4年やらせてもらったんだけど。その時から10年ぶりに1人でオールナイトニッポンをやるって、どういう面持ちでやるんだろうって。

オールナイトニッポンRの時も「いつか必ず戻ってきますから」って言って啖呵を切ってたんだけど、まさか1人で戻ってくるとは思ってなかったし。それが半年限定だとも思わなかったし。夕方の時間帯というか。深夜じゃないんかい!1人なんかい!半年なんかい!っていうイレギュラー続きで、戻ってきてんだか、戻ってきてないんだかみたいなね。

その中で俺自身もどんなラジオなんだろうって全くノープランだったんですよ。でもこの10年間、もしニッポン放送に戻れたらってことを思い描いてたんです。やっぱりラジオって特別なんですね。お金をもらえなくても続けたいっていうベテランの人も多いじゃないですか。それぐらい魔力があるんですよね。

すごい少人数で作るメディアだから、スタッフさんも数えられるぐらいしかいなくて。30〜40人のスタッフがいて、制作会社も2個入ってますみたいな。名前もほとんど覚えてませんみたいなチーム体制じゃなくて、6人ぐらいで作ってますみたいな。そういうコンテンツってやっぱりないんですよ。

あの時間ってすごい楽しかったなと思っていて、事あるごとに「またラジオやりたいんだよな」って色んなところでボソッといったりしていたんですね。そんな中で10年シミュレーションをしていた時に、俺としても傾向と対策があったんですよ。

あの時のオリラジはまだまだ。なんでかっていうと、まだ敗北を知らないからだと。ラジオってどういうメディアなのって言ったら、基本的には1人で聞くメディアであり、能動的に聞くメディアであると。さらに言えば習慣的に聞くメディアであると。それであれば、僕は1人で聞いている人を癒せる人がラジオに向いているなと思うんですよ。1人で聞いてるでしょ。孤独のメディアなんですよ。食堂で人がいっぱいいる時にテレビが1つ流れているみたいなことではないというか。

特に深夜ラジオとか車で聞くラジオとか大体1人じゃないですか。その孤独に寄り添えてるかどうかがすごい大事だと思うから、どっちかっていうと心に傷のあるパーソナリティが僕はいいと思ってるんですね。なんていうかな、大勝ちしてないというか。

もちろんスターがやってるんだけど敗北の匂いのするスターがいいなと僕は思っていて。大先輩の名前を出すのもおこがましいのかもしれないけど、ナイナイの岡村さんってどこかそういう匂いの持ち主でもあるじゃないですか。

スーパースターなんだけど傷ついた子犬のような。弱者に寄り添えるパーソナリティがいいのであって。俺は果たしてそうなのだろうかといつも思ってたんですよ。少なくともあの時のオリエンタルラジオは寄り添えなかったかもしれない。という風に思ったし。次やるなら、俺もバカじゃない。デビュー1年目の若造じゃないんだから。俺も経ました。次オールナイトニッポンが来た時の作戦も考えてます。次のラジオは静かにやりますって思ってたの。俺、ホントに思ってたんですよ。癒やして。まず読みます。

なんでかっていったら俺もラジオリスナーだったんですよ。爆笑問題さんのラジオとかナイナイさんのラジオを聴いて育っていて。メールを送って読まれたことがあるんです。それが嬉しくて震えて。これはもう最高だなって。

懸賞に当たったとかじゃなくて、孤独のメディアと繋がったって経験がとてつもない救済になったんですよね。受験生の頃だったんですけど。僕はそれを大事にできるパーソナリティは素晴らしいと思うから、いっぱい読みたい。静かに落ち着いて…聞き役。パーソナリティなのに聞き役。すごいメールを読んで癒やす。これだよと!

蓋を開けたらね、こんな体たらく。「メールを送ってくるな」「俺の生き方を見ろ」それでひたすら俺がしゃべるみたいな。それがなんでこうなったかっていうと、まず1人だったっていうのことに加えて、半年限定だったところが大きいと思うんですよね。

もしじんわり続きますよという感じでコンビで深夜に始めてたらゆったりしてたかもしれないとも思う。だけど半年限定のラジオだとしたら、やっぱり思い浮かんだのが漫画のスラムダンクだったんでしょうね。スラムダンクの何が素晴らしかったかというと駆け抜けたところに美学があるんですよね。中田のラジオをもっと聞きたかったという強烈なトラウマみたいなものが残せたんじゃないかと思ってます。

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