声優落語天狗連

アニメ『昭和元禄落語心中』のテレビ放映に合わせてスタートした「アニメ×落語×声優」の異色コラボイベント「声優落語天狗連」の魅力をお届けします!

緊張の15分間!『活撃 刀剣乱舞』堀川国広役で人気の声優・榎木淳弥が初めての落語挑戦!

2017年11月13日 13:00

アニメ『昭和元禄落語心中』をきっかけに生まれた「声優落語天狗連」は、アニメ×落語をコンセプトに、声優が初めて落語に挑戦する「声優落語チャレンジ」と、プロの落語家による“本物の落語”が生体験できるイベントだ。その「第十二回」が演芸の聖地、浅草・東洋館にて2017年9月24日に行われた。

吉田アナ×サンキュータツオによる「声優×落語」イベントが開催12回目に

満員御礼となった東洋館の舞台にまず登場したのは、本イベントの仕掛け人でありMCのふたり。ニッポン放送アナウンサー・吉田尚記と、お笑いコンビ「米粒写経」のメンバーで日本語学者・芸能研究家として有名大学の講師なども務めるサンキュータツオ。他大学同士ながら落語研究会の同期生で、もう約20年に及ぶ付き合いだというふたりの息の合ったトークも本イベントの名物だ。

最初のコーナーは、吉田&タツオによるアニメ&落語トーク。今回の「声優落語チャレンジ」は若手声優注目株の榎木淳弥が高座を務めるが、このコーナーには今まで古川慎、中島ヨシキ、高塚智人、仲村宗悟など、10月よりテレビアニメシリーズもスタートした『アイドルマスター SideM』出演声優が数多く出演している。榎木淳弥(舞田類役)もそのひとりだ。さらに『SideM』でアイドルを務めるキャラクターは全員、元〇〇という前職持ち。そこで吉田アナが、「もしかして、前職が落語家というキャラもいます?」と客席の『SideM』ファンに質問すると、「います!」という返事が。「次はその人にやらせようか」と大いに盛り上がる。

そこから話は、もうひとりのゲスト・柳亭小痴楽のエピソードに。じつは榎木淳弥と小痴楽は同い年。小痴楽は中学卒業後すぐに落語界に飛び込んだスーパーエリートだ。毎回、落語家の人選を担当しているサンキュータツオによれば、「人は20歳くらいまでに吸収したものが一生続く。落語も入門は早いにこしたことはない。そういう意味で、いちばんフェアリーな存在を連れてきました。今は二ツ目ですけど、あと数年以内に真打ちになる20代、貴重な存在です」と紹介する。

その小痴楽の父親も、同じ落語家の故・5代目柳亭痴楽師匠。落語界では初代 三遊亭圓朝のように、親子2代で落語家というのは珍しくないが、小痴楽と父・痴楽との逸話は一般人の感覚では計り知れないものばかりだという。「小痴楽さんは笑顔で話してくれますけど、まだ落語に触れたことのない年頃に、立川談志師匠の音源を聞いて“つまんねぇな”と言ったら、痴楽師匠にボコボコにされたとか……ほら、引くでしょう? これ平成の時代の話なんですよ?(笑)」とタツオ。壮絶な親子エピソードに驚く吉田アナと客席に、タツオは「皆さんだって、声優を知らない人に山寺宏一さんを罵倒されたら殴りますよね?(笑)」と解説。「あぁ~、わかる~~!!」と吉田アナも思わず納得していた。

人気声優・榎木淳弥が「強情灸」にチャレンジ!

親子2代落語家の様々な蘊蓄に続いて、いよいよ榎木淳弥の「声優落語チャレンジ」コーナーへ。吉田アナによれば、「立川志ら乃師匠に稽古をつけてもらっている時の彼を、スタッフは“サイコパスだ!!”と言うんです(笑)」。その言葉に客席も大爆笑!……どうやら榎木=サイコパスは、ファンにも浸透しているのか!?

さらに榎木がこの日、口演する「強情灸」は以前、本イベントに出演した高塚智人も演ったことのある演目。そして吉田アナは、「でも高塚くんは優しい青年なので、同じものをサイコパスがやるとどうなるか楽しみ」と言いながら、榎木の稽古を撮影したダイジェスト動画をみんなで鑑賞。見終わった吉田アナとタツオは「いや~、これは久々に緊張するパターン! セリフが入ってないのに、表情が変わらないのが怖い。面白いかどうか迷った場合は、皆さんとりあえず笑ってあげてください!」と言って、榎木の高座に引き継いだ。

軽快な出囃子に迎えられて高座に上がった榎木の第一声は、「どうも!サイコパスでございます!」。いきなり東洋館が大爆笑に包まれる。この日、会場入り前に偶然、駅で高塚智人に遭遇したエピソードをマクラに「強情灸」が始まった。「強情灸」は、ある男が友人の家に呼び込まれ、熱くて大評判の灸を据えたがへっちゃらで、そこにいた女にも羨望の眼差しを受けたという自慢話をする。だが話を聞かされたほうは面白くない。俺はもっと熱い灸を我慢できると張り合って、とんでもない量のモグサを腕に乗せて火を付けると?……という、江戸っ子の見栄の張り合いを描いた滑稽噺だ。

灸を据えに行った男の滑稽な語り口、灸を我慢するコミカルな表情や仕草が見どころとなるこの噺。序盤こそ落ち着いた雰囲気を醸し出していた榎木だが、ヘンテコなお灸の先生が登場したあたりからいきなりエンジンがブースト! 激熱な灸を我慢する男の描写では、稽古番・志ら乃師匠ゆずりのハイテンションの“顔芸”も炸裂し、客席は大沸き。この変貌がサイコパスと呼ばれるゆえんか! と思わず納得のダイナミックな「強情灸」だった。

大きな拍手をしながら出てきたMCコンビは、彼のクレイジーぶりを絶賛。「そこは自分を投影しました」と答えた榎木は汗だくで、「途中で足がつりそうになって大変でした(笑)。でも、お客さんが温かくてやりやすかったです」とホッとした顔を見せる。そこに稽古番の志ら乃師匠も合流し、「仲村宗悟くん以来、サイコパスは2人目(笑)。稽古の初回に質問攻めされたくらい、彼は自分が納得しないとやらないタイプ。だからあえてムチャブリをしたら、サイコパスっぷりが日を追うごとにすごくなっていった。ちょっとマイルドにさせたんですが、ここまで緩急がつけられるようになるとは思わなかった」と稽古を振り返った。

しかもこの日は、稽古通りに進行していなかった部分を榎木自身がストーリーを行き来しながら軌道修正していたり、師匠が教えたくすぐりを自分ならではの内容に変えて演じていたそう。タツオは「(榎木が)いい男なのは、落語にはジャマだけど」と苦言を呈しながら(?)、榎木のオリジナリティをファインプレーと讃えていた。

ポップさが魅力のイケメン落語家・柳亭小痴楽が登場

そしてイベントはいよいよ、タツオに「ずっと聞いていられるポップな軽さが魅力のイケメン落語家」と紹介された、柳亭小痴楽の高座へ。演目は「干物箱」。大好きな吉原遊びを我慢できない若旦那が、声色の得意な善公を自分の代役にして家に置いて出掛けるが、息子だと思い込んで階下から話しかける父親に、善公は事情がわからぬままトンチンカンに受け答え。そのうち、善公お気に入りの花魁から若旦那に宛てた手紙を見つけ、こっそり読んでみると……というストーリーだ。

小痴楽は、16歳の浅草演芸ホールでの初高座の失敗談や、父・柳亭痴楽師匠からの超スパルタなエピソードをマクラに、軽妙に「干物箱」を熱演。気っぷのいい江戸弁をまくしたてる若旦那や善公たちのやりとりは、終始ハイテンション&ハイスピード。“いなせ”という言葉が良く似合う、活き活きとした人物描写に笑いが絶えなかった。

小痴楽の高座が終わり、「〈干物箱〉は何度も聞いたことがあるが、こんなに善公が楽しそうなのは初めて」と吉田アナが言えば、志ら乃師匠が舞台袖からモップを手にして襲いかかりながら「(噺が上手くて)悔しいんだよ!」と嫉妬を露わにして登場し、そのまま出演者全員が顔を揃えてラストトーク。小痴楽親子のさらなる壮絶エピソードや志ら乃師匠や小痴楽の周囲にいる変わり者の若手落語家の話もどんどん飛び出し、笑いが盛りだくさんの2時間はあっという間に過ぎていった。

次回で13回目を迎える「声優落語天狗連」は2017年11月26日(日)に開催される。吉田アナによれば、すでに来年の開催予定も動き出しているのだとか。開催情報、出演者情報などは本ページおよび、できたてホヤホヤの「声優落語天狗連」公式Twitter(@seiyu_to_rakugo)などでも告知していくので、お見逃しなく!

【取材・文:阿部美香】

『声優落語天狗連 第十三回』

日時: 2017年11月26日(日)開場18時30分/開演19時00分(21時00分終演予定)
会場:浅草・東洋館(東京都台東区浅草1-43-12)
MC:サンキュータツオ、吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
出演:瀧川鯉八、五十嵐雅
公式HP:http://www.allnightnippon.com/news/news_cat/tenguren/
公式Twitter:@seiyu_to_rakugo

●イベント内容:
・サンキュータツオ×吉田尚記アナによるアニメ×落語談義
・声優落語チャレンジ(五十嵐雅)
・落語家 瀧川鯉八による口演

●チケット情報:
イープラスにて抽選販売を受付。http://eplus.jp/rakugo13/
抽選販売受付期間:2017年11月10日(金)12時00分〜11月16日(木)23時59分
チケット価格:4000円(税別)
カード決済限定/申込枚数制限:4枚/公演に関する問合せ先:rakugo@1242.com
受取:セブンイレブン・ファミリーマート・スマチケ(電子チケット)発券