工藤大輝と偶像音楽論

Da-iCEの工藤大輝がお届けする、月イチ連載コラム!

工藤大輝が語る「汗と涙のシンデレラストーリー/SUPER☆GIRLS」の安心感

2017年11月09日 20:30

【月イチ連載コラム:工藤大輝と偶像音楽論(通算 第15回)】

王道は、更なる飛躍を求めて唯一無二の王道へ。

汗と涙のシンデレラストーリー / SUPER☆GiRLS

王道とは何か。多種多様なアイドルが無限に存在する昨今、日本のアイドル歴史が作ったイメージに迎合することではなく、軸をブレさせず常に全方位対応できることで、それこそジャンルで縛って入口を狭めるものではないと思っています。

特に楽曲に於いて、昔のそれは今のそれではないし、そもそも王道という筋道はここ数年で細分化してしまって誰も明確に定められないところまできている気がします。極論、売れたらそれが王道。

今回の曲もコンセプトと照らし合わせて賛否ありますが、個人的にメッセージ性で言えば再起奮闘はある種王道ですし、泥臭さや前向き感も言わば王道。今まで無かったからそう感じるだけで実はそもそもコンセプトから外れてなんていないわけで。

それで言うと、イナズマ戦隊さんのアプローチは完璧で、この采配はとても面白く良い方向に化けた気がします。最近のアルバムプロデュースをされている名村武さんがそのままアレンジャーと言うのも熱く、超大御所さんが持つJ-POPマナーと玄人受けの絶妙な按配。80~90年代を彷彿とさせるファンキー歌謡曲。初期東京女子流さんやフィロソフィーのダンスさん然りこの方向性、大好物です。

そして振付はなんとENDoさん。正直、意外でした。

ただもう仕上がりをみたら分かります。圧倒的コレオグラフの存在感。ENDoさんと言えば超特急さんのイメージが強いですが、要は、超ハードなダンスをキャッチャーかつシュールに魅せる天才で、他には真似できないオリジナリティが確実に毎作品生まれます。

且つ、メンバーは勿論多少の差はあれど経験値的にも環境的にも精鋭部隊。その独特な振付をしっかり消化してモノにできる技術力があります。観ていて安心感がすごい。

歌唱においても、メンバーそれぞれ、声質も十人十色だし、やはりユニゾンの声質が最高です。Bメロの溝手さんから内村さんの流れとかもうアイドルらしからぬ歌い回し。語尾処理とビブラートが神がかり的。

こうなってくるともう、早く、ライブで観たい。生でフルコーラスで確かめたいことが沢山あります。

ミュージックビデオ的にも全編カッコいいとシュールの連続攻撃といった感じで、観ていて全く飽きない。0サビあけや1サビ終わりのキメポーズとかもう最高です。HS(スロー)がシュールさに拍車をかけてます。

そもそもミュージックビデオとして夏シングルのイメージが強かったスパガさん、今年は夏を外してリリースしています。水着が好きなファンの方々には申し訳ありませんが、僕個人的に水着で踊るMVが好きになれないタイプでして…

と言うのも、楽曲コンセプトの延長上にその選択肢を入れずとも作品として成立させられるんじゃないかと、それを定番だと考える予定調和はこちら側のエゴなんじゃないかと、そう思うんです。

いやしかし、水着は好きです。

世間的にニーズも絶対ある。要は出すタイミングと頻度の問題で、アイドル界において水着とは言わば1発K.O.を確実に狙える超必殺技みたいなもの。それはソログラビアや写真集など「ここぞ!」という時に解放したほうが攻撃力が増す気がするんです。

それよりもミュージックビデオに関しては楽曲のコンセプトに沿った面白い企画だったりメンバーのパフォーマンスだったり表情や仕草が観たい。

そういった意味で今回みたいな作品があると、いままでノーマークだった人達やグレーゾーン層の獲得に一歩近づける気がします。普段はこういう感じだけど、こういう曲もやるんだよね、と言う説得力に繋がりますし、現に僕はこの作品で印象が変わりました。

少し捻った方向が好きな人達にも自信を持って推せる、今回そんな曲が生まれてまだまだここから更に広がりつつも上に登っていく12人のパフォーマンスが楽しみです。

と言うことで今回はこの辺で終了とさせていただきます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。

したっけ。

文:工藤大輝