工藤大輝が語る「風に吹かれても/欅坂46」のカッコ良さ

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【月イチ連載コラム:工藤大輝と偶像音楽論(通算 第14回)】

工藤大輝が語る「風に吹かれても/欅坂46」のカッコ良さ

もう誰にも止められないところまできている
ただ風に吹かれているだけではなく
追い風に吹かれるべくして吹かれている

欅坂46 / 風に吹かれても

まず最初にこの曲を聴いた感想ですが、完全にアイドル用の楽曲ではないです。トラック(オケ)の部分をとっても、メロディラインをとっても、我々のような男性ダンスボーカルグループが好んで使いそうな方向性で、女性アイドルの要素が全くないからです。改めて偏見を無くしてイントロ30秒聴いてみてください。K-POP?avex?LDH?はたまたファンク系バンド?いよいよもって分からない。平たく言うとめちゃくちゃカッコいいです。

「エキセントリック」の時と較べると顕著ですが…

まだここまでの楽曲達はアルバム収録曲を踏まえても欅坂さんに楽曲を合わせにいっているようなイメージがありました。グループのイメージ先行型ですね。1stシングル「サイレントマジョリティー」のパワーが強過ぎて大衆イメージがそこに置かれていたからだと思われます。意図せず僕達側がそう感じてしまっている部分が大きかったのでしょうが、しかしこの楽曲はそのイメージからの脱却を思わせるような圧倒的な違和感と前衛感があります。

おそらく欅坂さんの制作チームはもう楽曲集めの時点で「欅坂46っぽい楽曲」ではなく、関係なくカッコいい曲、今までのアイドルがやったことのないような楽曲、を集めているのではないのでしょうか。グループに合わせる、ではなく、楽曲に合わせる、といった方向性をより強く示している気がします。

Aメロのメロディと譜割なんて完全に洋楽で、Bメロに入ってから一旦ブレイクして後半テンションを上げながらもしっかりフィルを挟んでサビに向かう感じだったり、もう男性ダンスグループ系楽曲(自分達含む。笑)のセオリーがズラリ。それでもって揃いのスーツでビシッとガッツリ踊られるんだから、この時点で既に何の文句の付けようもありません。作品やアイドルとして可愛いかと言われたらそれはまた別の話ですが、それはまたそういった楽曲の時に全開で出せば良いだけで、今回はコンセプトの完全勝利な気がします。他にいないし、ただ他にいないだけじゃなくて、「良くて」尚且つ他にいないところがポイントです。

振付もまたとんでもないことをやられています。昔サイレントマジョリティーについてコラムを書かせていただいた時に言っていた例「単純だけど凄く見える構成と振付」ではなく、只々単純にとても難しいダンスです。いよいよもって振付ではなくダンスです。

例では手足を出したり引いたり上下に動いたりと、言わばマスゲームのような形で、大人数でのパフォーマンスはそれが出来るから強い、という話でした。

今回は全く異なります。サビに関しては殆ど構成移動なしでルーティン(全員でのユニゾン)がメインとなっています。振付自体も先程ダンスだと言いましたが、ステップの量が尋常じゃなく、分かりやすく例えるならばマイケルジャクソンだったり、EXILEさんが得意としているNEW JACK SWINGというジャンルの方向性が強く、足さばきとノリが重要になってくるので難易度が本当に高いですし、何よりやはり揃っているとカッコいいんです。サビ途中に指ツンツンの可愛いポイントがあるのも嬉しいところですが。笑

映像の照明感や雰囲気もブルーノマーズよろしく、古き良きを提示するような良さがあって、そこで新時代の若い子達が激しく踊る、こんなに絵面として整っていることは中々ありません。

改めて、今回は楽曲、歌詞、映像、振付、全てに於いて「カッコいい」に尽きます。カッコいいばかりで語彙力が無くなっていて申し訳ないですが、こんなにカッコいいと感じた楽曲は久々で。ご勘弁を。

間違いなく今年の推し曲三本の指に入ります。
いや、2017年暫定1位です。本当に素晴らしい。

と言うことで今回はこの辺で終了とさせていただきます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。したっけ。

文:工藤大輝

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