工藤大輝、わーすたを語る「あまりにも素晴らしいライブだった」

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【連載:工藤大輝と偶像音楽論。】第9回

【Da-iCE】[ソロアー写・工藤大輝]「NEXT PHASE」-サイズ大

世間が「異質」を受け入れるまでには時間と手間がかかるが、「異質」が頂上に登りつめた時それは「基準」となる。

アイドルカルチャーを背負って立つ日本発世界基準。

The World Standard またの名を「わーすた」

この5人には思い入れがあり過ぎて俯瞰で書けない気がして、このコラム内では単体で記事にすることを控えていたんですが、先日行われたZepp DiverCityでのワンマンライブがあまりにも素晴らしいライブだったので、どうしてもその熱を伝えたくなってしまい書かせていただく運びとなりました。チョロヲタと呼んでいただいて結構です。

さて。

わーすたと言えばほら「猫?猫?にゃんにゃんにゃん?」「犬?犬?わんわんわん?」でしょう。

そう言われることが最近増えました。それだけじゃないぞ!と思いながらも、約2年前に「ミュ~コミ」番組放送内でいぬねこについて熱弁していた時のことを思い返すと、知名度が昔の比ではないことが伺い知れますし、何よりインディーズ時代に出した楽曲が最もエネルギーを持ったパンチライン楽曲になっていることの凄さ。全てのアイドル・アーティスト共にそういった代表曲となる楽曲を生み出すのに苦労するのです。何を隠そう僕達も苦労しています。

そして言わば最初の勝負に勝った5人はこの後も凄まじいスピードで爆進し今に至ります。

わーすたはavex内のアイドルレーベルiDOL Streetが送り出す4組目となるアイドルグループですが、5人組の少数精鋭は初の試み。スパガさんやチキパさんGEMさんと少し毛色が違うも、先輩グループから脈々と受け継がれるダンスやボーカルスキルをしっかり継承しつつ、今までにない実験的アプローチをしていくスタイル。

楽曲に関して言えばアレンジが色んな方向に攻めているので散らかっているように思われがちですが、作詞曲は音楽プロデューサーの鈴木まなか氏が殆どを担っていて、独特なメロディラインの流れや雰囲気に一貫性があり、よくよく聴くと全曲を通して統一感があります。

個人的に好きな楽曲は「Zili Zili Love」という曲で、理由はと言うと、曲調はエレクトロスウィングのお洒落路線、歌詞も大人びた内容でメロディラインの難易度も高く、歌唱力や表現力がはっきりと分かる楽曲だからです。前述にもある印象の話で「いぬねこ」や「うるチョコ」でしょう?と言われた時のカウンターとしてこの楽曲を提示すると、技術的土台がしっかりあることと、前述二曲はあくまでも振り幅の一つだということを知らしめることができるのです。

わーすたのライブはスマホ撮影OKとなっていて、それによってこういった形で広められる所が圧倒的な強みになっています。ちなみにSNS上にどれだけ切り取ったライブ映像が落ちていようと、パッケージ化された正規ライブDVDは買いたいと思うのがファン心理。このご時世、それとこれとは別なのです。

ちなみに上のインスタグラムの映像は先述のZeppでのパフォーマンスですが、フルバンド編成によってアレンジが素晴らしいことになっています。エレクトロスウィングから完全なるスウィングに。この他にも誤魔化しの効かないアコースティックアレンジなどが多々ありましたが、そこはメンバーのスキルとモチベーションでしっかりと消化していました。実際トータルで観てもやはり曲の振り幅がとんでもないことになっていて全く飽きない約2時間でした。

振り幅の件、百聞は一見にしかずと言うことで。

最新シングル「Just Be Yourself」

こちらタイアップ曲ということもあって王道感満載。5人とも可愛いがほとばしっていますね。こういった楽曲をパフォーマンスしている時の5人のアイドルとしての底力は他の追随を許しません。

一つ前のシングル「ゆうめいに、にゃりたい。」

サビはキャッチーな美メロですがそれ以外の歌詞と構成が摩訶不思議アドベンチャーになっています。

この感覚は初期ももクロさん×ヒャダインさんに通ずるものがあって、中毒性が凄まじいのです。もう一回聴きたくなる感覚。制作とグループの化学反応とその継続はオリジナリティに繋がります。モーニング娘。さん×つんく♂さん、Perfumeさん×中田ヤスタカさん、などなど挙げればキリがありませんが、そういった例に則ってスターダムに登りつめている感覚が今のわーすたには感じられます。

あの日、5人の女の子が歌い踊りまわるZepp DiverCityは想像よりも遥かに狭く感じました。もっと大きな会場で観たい、そう思わせるオーラとパフォーマンスだったからだと思います。2017年、まだまだわーすたから目が離せません。

と言うことで今回はこの辺で終了とさせていただきます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。したっけ。

文:工藤大輝

 

※ニッポン放送アナウンサー吉田尚記をアイコンとしたカルチャー情報サイト「yoopy」より転載

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