歩きのプロに聴く「お尻が上がる、太ももが引き締まる、歩き方」とは?

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近年の健康ブームにより、増加したウォーキング人口。しかし、間違えた歩き方によって、身体に余計な負担を与える人が増えているそうです。編集部では、『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』(きずな出版)の著者で元オリンピック競歩選手の園原健弘氏にお話をお伺いし、その悩みに答えて頂いています。第2回となる今回は、正しい歩き方、体がギュッと引き締まる「歩き方」を教えていただきました。

歩きのプロに聴く「お尻が上がる、太ももが引き締まる、歩き方」とは?

【園原健弘氏インタビュー 第2回】
歩きのプロに聴く「お尻が上がる、太ももが引き締まる、歩き方」とは?

●「太ももをぶつけるくらいの意識で歩く」

編集部:前回は、「歩く」運動を始める前に知っておくべき注意点を教えていただきました。今回は実践編として、ダイエットに繋がる歩き方を教えてください。

園原:まず、押さえていただきたいのは太ももをぶつけるくらいの意識で歩くことです。

編集部:太ももをぶつけるとは?内股で歩くということですか?

園原:内股とはちょっと違いますね。両足の太ももの内側の筋肉(内転筋)をなるべく近づけて歩くイメージです。太ももの後ろと後ろがぶつかるくらいがベストです。

編集部:太ももの後ろ!?この状態で歩くのは難しいですね。あ、でもお尻がキュッと勝手に締まりますね。

園原:そう、内転筋を意識すると、連動してお尻が締まるんですよ。

ほとんどの方は、太ももの外側の筋肉を使って歩いています。ここの筋肉で歩き続けると、内転筋とお尻の筋肉が落ちてO脚になります。ご年配の方が、O脚気味に太ももを離し、股に空間を空けながら歩いているのをよく見かけませんか?これは太ももの外側ばかり使ってしまったからです。

内転筋を使った歩きのお手本として、是非見てほしいのですが、イチロー選手や元サッカー選手の中田英寿さんは太ももがぶつかるように歩いています。

中田英寿さんはミッドフィルター(攻撃と守備の両方に関わるポジション)なので、ぶつかられても良いように内転筋が強く、踏ん張れるように体が仕上がっているのです。

日本人は骨盤が薄い民族なので外側に力が入りやすいんです。だから無意識に歩くと内転筋とお尻の筋肉が使えず外側を使ってしまって、その状態で1万歩とか、30分運動しようとするとどんどん膝や股関節が曲がってO脚になっていきます。

歩きのプロに聴く「お尻が上がる、太ももが引き締まる、歩き方」とは?

●お尻は太ももの方まで垂れる

編集部:太ももの内側の後ろを意識していたら、お尻が疲れてきました。続けたら、ヒップアップ効果がありそうですね

園原:内転筋に力を入れていると、ジーンズの後ろポケットの辺りが緊張していませんか?ここを鍛えるとヒップアップしますよ!お尻の筋肉は太ももの下の方まで繋がっているので、この筋肉が落ちたらお尻は太ももの方まで垂れますよ。

編集部:それは恐ろしいです……そんなにお尻は垂れるのですね。もっとヒップアップの方法を教えてください

園原:空のペットボトルを股に挟んで、ぺこぺこ鳴らしてみてください。多くの方が内転筋に力を入れられないので、なかなか鳴りませんが。「いろはす」みたいな柔らかいペットボトルなら誰でも鳴りますから、固めのペットボトルを用意してくださいね。ひざに力を入れるのではなく、内転筋にギュッと力を入れる。これを毎日20回やってください……と言っても皆さんやりません (笑)

なので、日常生活で歩くときに、内転筋を意識するだけでOKです。筋トレをするのと同じく、ヒップアップになるし、O脚予防にもなるし。太ももものむくみも取れますから、脚がキュッと引き締まります。

編集部:意識して歩くだけで、下半身が引き締まるなんて夢のようです!

園原:歩くという動作だけで様々な筋肉を使いますから、意識を加えるだけで自己整体になったり、筋トレになったり、マッサージやストレッチ効果が得られます。

●みぞおちを意識して歩く

園原:もう1つ、綺麗に近付く歩き方として「みぞおち」を意識することも大事です

編集部:胸を張るということですか?

園原:無理に胸を張らなくても良いんです。みぞおちから下が足だとイメージすればOKです。そして歩くとき、無理に腕を振らないでください。ランウェイのモデルさんって腕を振らないじゃないですか?腕が自然に動かなかったらそれで構いません。

編集部:みぞおちを意識したら、自然と背筋も伸びますね。なぜ、みぞおちを意識すると綺麗な姿勢で歩けるのでしょう?

園原:実際に、大腰筋(だいようきん)という上半身と下半身を結ぶ大きな筋肉の出発点が、みぞおちなのです。だから、解剖学的にも理屈があるんですよ。もともとは東京大学名誉教授の小林寛道先生が言い出したんですけれどね。

●たくさん運動しても、望む効果は得られない

編集部:さっそく、教わった2つのポイントを押さえて1日1万歩に挑戦してみます!

園原:「量の管理」にばかり意識がいかないように注意してくださいね。「量の管理」とは1万歩歩く、5km歩く、30分歩くなどの目標のことです。「動き方」をきちんと意識せずに動いてしまうと、自分の使いやすい筋肉だけで歩くので、歪みが助長されることがあります。

皇居でランニングの指導をよくしていますが、歪み助長ランナーがすごく多いです。苦しそうに体を曲げて走っている方を見たことないですか?あれは、使いやすい筋肉を使って、たくさん走ることばかり意識しているからです。

量の管理が一番楽なんですよね。30分走ったとか、あそこまで行ったとか。量の管理ばかりしていると体は悪い方向に向かってしまうし、体を歪ませて苦しそうに運動している方よりも、リラックスしながら運動されている方のほうが綺麗ですよね。

編集部:今日もありがとうございました。

気になるインタビューの続きはまた明日。次回は、ダイエットや健康づくりの指導者としても活躍する園原さんに “太りにくい夜食”を教えてお聞きします。

文:allnightnippon.com 編集部 望月知世
写真:allnightnippon.com 編集長 長浜純

■園原健弘氏ブログ
http://ameblo.jp/ringofarm/
■『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』
http://www.kizuna-pub.jp/book/9784907072872/

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