工藤大輝、欅坂46を語る

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【連載】工藤大輝と偶像音楽論。

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どうも工藤大輝です。

僕がここで書かせていただくとすればテーマは一つ!アイドルの音楽作品について。です。

僕も一応パフォーマーという名目でダンスを嗜んだり作家として楽曲制作に勤しんでおりまして、そういった視点から今まで他のコラムでも様々な作品を解説させていただきましたが、ここでは気持ちを新たにまた違った作品を独断と偏見にまみれつつも楽曲や振付を軸に楽しく解説できれば幸いです。

さて、さっそく本題に入っていきましょう。初回は僕が初めてミューコミ+プラスさんにゲスト出演させていただいた時に話題に挙がったものの全然話し足りなかったあの新人モンスターグループの名曲を選ばさせていただきました。

第1回「欅坂46 / サイレントマジョリティー」

乃木坂46に続く言わずと知れた坂道シリーズ第二弾グループ。

2ndシングルの「世界には愛しかない」も絶賛発売中ですが、リリースから数ヶ月が経っても衰えない話題性。それほどまでにデビューシングルのインパクトは凄まじく、良曲とは既に各方面から言われております。そういった意味で今更感は否めないかもしれませんがやはりここを通らずして先には進めないなと思い選ばせていただきました。

この超攻撃的楽曲を1枚目に置いたことによって、乃木坂46さんが4枚目の「制服のマネキン」で初めて得たプロップスとリスペクトを初っ端から狙っていく攻めの姿勢と運営さんの本気度を窺い知ることができました。ビジュアルから曲調、歌詞に至るまで全てが攻撃的。なにより徹底的な乃木坂46さんとの差別化。乃木坂さんがフレンチならば欅坂さんはブリティッシュ。AKB48さんに対してのカウンターだった乃木坂46さんに対しての更なるカウンター。陽に陰をぶつけていくスタイルは引き継ぎ、かつグループ単体としての色づけも怠らない。個人のキャラは後からついてくるもので、前半戦はビジュアルと楽曲が勝負。そういった意味でも「サイレントマジョリティー」は最高の武器だったのではないでしょうか。

まず、乃木坂さんはシングル勝負曲で言うとピアノのリフが重要な役割を担う楽曲が多く(「君の名は希望」・「気づいたら片想い」など)、夏曲はエレキギター(「ガールズルール」・「太陽ノック」など)をメインに置いて、攻め曲はシンセ系(「制服のマネキン」・「ポピパッパパー」など)といった具合にまとめられている傾向があります。一方、欅坂さんは「サイレントマジョリティー」のイントロに象徴されているように今までの切り口ではあまり見られなかったアコースティックギターをメインどころに置くことによって差別化することに成功しています。「世界には愛しかない」もイントロはピアノでありながらメロのアコギの印象がとても強い楽曲になっています。ちなみに乃木坂さんではリリース当初賛否両論入り乱れた「バレッタ」がこれに当てはまるのではないかと思います。グループの持つ印象ってとても大切なんですよね。ゆいちゃんずの「渋谷川」でのアコギパフォーマンスもその印象をさらに助長する要素になっています。

そしてパフォーマー(一応)として見逃せないのが振付です。振付師は世界的ダンサーのTAKAHIROさん。

計算し尽くされた素晴らしい振付です。振付と言ってもこの作品で最も素晴らしいと僕が感じたのは「構成」です。

振付には「振り」と「構成」二つの要素があって、どちらも大切なものです。「振り」は身振り手振りのことで「構成」は複数の人をどう動かすかを表します。サイレントマジョリティーのそれは例えるならマスゲームです。ダウンやアップ、ターンやウェーブやノリも含め、ダンスは技を習得するまでに時間を要するものが多く、いくらハードでも数日のレッスンで出来るようになるようなものではありません。この作品も実際のところ手や足の動きは直線的でシンプルに仕上げられています。それをカバーするのが緩急と移動です。止めと動きだしの速度コントロールを効果的に使って不思議に見せるアニメーションと呼ばれるダンスを軸に、人数の多さを上手く利用した構成移動が多い振付になっています。とは言っても総じて簡単に出来るようなものではないのでメンバー皆さんの努力あってこそですが。なんにせよアイドルのデビューシングルの世界観としてはかなり異質なものに仕上がっているんじゃないかと思います。斬新かつ前衛的。だからこそ何度も観てしまう中毒性が含まれているのではないでしょうか。

MVではその完成された振付に楽曲が合わさった世界観に加え、初々しさやあどけなさの残るメンバーの表情やダンスとのギャップに目が離せません。少し動きがブレているところや振りを間違えてしまっているところもデビュー曲ならでは。少しずつ全ての動きに経験と技術が積み重なり、いつかの大舞台で才能を爆発させるその時まで育っていくところを見届けられるのが応援するファンの醍醐味ですから。

ということで今回はこの辺で終了とさせていただきます。

また次回も楽しみにしていただけると幸いです。したっけ。

【文:工藤大輝】

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※ニッポン放送アナウンサー吉田尚記をアイコンとしたカルチャー情報サイト「yoopy」より転載

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