武井咲と柳田理科雄のラジオ空想科学研究所

注目の美少女タレント！武井咲と300万部の大ベストセラー「空想科学読本」の著者にして、空想科学研究所主任研究員である柳田理科雄が夢のコラボレート！
アニメや映画、特撮の「あの名場面」を科学の視点から鋭く分析するという「空想科学」の世界を、日頃忘れていた理科や数学の話も織り交ぜながら「分かりやすく、痛快に、面白く」展開します。
二人の研究活動に是非ご期待ください！

武井咲

2006年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」モデル部門賞・マルチメディア賞を受賞。06年から「SEVENTEEN」（集英社）の専属モデルを務める。テレビドラマ「オトメン」「GOLD」でのレギュラー出演のほか、CM・雑誌で活躍。愛知県出身の16歳。

柳田理科雄

1961年鹿児島生まれ。
ベストセラー『空想科学読本』著者で、現在は空想科学研究所・主任研究員。
明治大学理工学部物理学科の非常勤講師を務めるなど、多岐にわたって活躍する理系作家。

更新日： 5月31日



５／２８放送の研究テーマは、『「うる星やつら」のスゲ～やつら！』でした。「うる星やつら」には、電撃を出すラムちゃんを始め、柳田主任の研究心をくすぐる、非常に興味深い人たちがたくさん出てきます。そこで今回、彼ら・彼女らについて、科学的に研究しました。 ★ラムちゃんのビキニは、ただのファッションじゃないだっちゃ！　ラムちゃんは体から電撃を放つことが出来ましたが、実は、我々人間も体内で電気を作っているのです。　例えば神経細胞は、細胞膜の能動輸送というモーターのような働きで、細胞膜の外側がマイナス、内側が　プラスになっています。刺激を受けると、細胞膜がビックリして能動輸送が止まり、外側がプラス、内側が　マイナスになります。この変化がスタジアムの観客のウェーブのように伝わって、神経の興奮が脳まで　伝わるのです。　おそらくラムちゃんも、能動輸送の力で体内に電気を貯めているのでしょう。もちろん、電気というもの　は、プラス・マイナス同時に発生し、片方だけを作ることは出来ません。おそらく、首から下の上半身に、　マイナスを溜めているのでしょう。そう考えると、いつもビキニを着ていたことも納得できます。　普通の服を着ると、静電気で体にピッタリくっつくか、ぶわっと広がってデブに見えるか。女の子として　は、どっちも嫌でしょう。　そして、なぜラムちゃんがマイナスを溜めているかと言うと、これはラムちゃんが空を飛んでいるため。　地球上の大気は、上空がプラス、地面がマイナスの電気を持っています。日常生活への影響はわずか　ですが、マイナスの電気を大量に溜めていれば、上空のプラスに引っ張られ、地面のマイナスに　跳ね返され、宙に浮くことが出来ます。　ラムちゃんの体重を５０ｋｇとして、宙に浮くための電気量から計算すると、ラムちゃんは、　なんと３７００億ボルトも帯電していることになります！　この電圧なら、電撃が届く距離は２７０ｍ！　これに耐えたダーリン、諸星あたるの帯電体質、恐るべし！！ ★テンちゃんの炎は“虫歯”と同じだ！　ラムちゃんのいとこのテンちゃんは、空中をフワフワ飛んで、口から炎を吐きます。自然界に炎を吐く生物　はいませんが、メタンなど可燃ガスを放出する細菌がいます。メタンを作ることでエネルギーを取り出し、　それで生活しているのです。人間の腸内にも１００種類以上の細菌がいて、病気を起こすものもあります　が、役立つものもあります。悪玉菌と善玉菌です。テンちゃんの体内にも、そうした可燃ガス細菌が暮らし　ているのでしょう。　　すると、疑問が湧きます。いとこであるからには、ラムちゃんとテンちゃんは同じ種族であろうに、　なぜラムちゃんは火を吐かず、テンちゃんだけ火を吐くのでしょうか！？　　これは「虫歯」を考えれば分かります。虫歯を起こす菌、ミュータンス菌も、完全に口の中からなくすのは　良くないと言われています。これは、細菌同士の間にも生態系が成立していて、ミュータンス菌がいなく　なると、代わりに他のもっと悪い細菌が入ってくる怖れがあるからです。　ただし、３歳までにミュータンス菌に感染しなければ、口の中にミュータンス菌のいない生態系が完成　して、　その後はミュータンス菌さえも入れなくなってしまいます。歯磨きをしなくても虫歯にならない人　がいるのは、そのためです。ミュータンス菌は、親から子へ口移しなどによって感染します。ラムちゃんの　お母さんは、ラムちゃんが可燃ガス細菌に感染しないような育て方をしたのかもしれませんね。 ★おユキさんは、地球温暖化を救う！　ラムちゃんの惑星中学時代の同級生・おユキさんは、海王星に住んでいて、口から雪を吐き、あたり一面を　ツララだらけにします。それにしても、口から雪を吐くとは、どういうことなのでしょうか！？　　論より証拠ということで、スタジオで実験してみました。名付けて…「君の吐息が雪になる」実験！　手順①　５００mlペットボトルに細い糸を垂らす。　手順②　ドライアイスの入った保冷容器のふたに穴を開ける。　手順③　ペットボトルの首だけが出るようにする。　手順④　ペットボトルに息を吹き込む。　手順⑤　しばらく置くと、糸の途中に雪の結晶が出来る。　（※これは、旭川西高校の平松和彦先生が考えた実験です）　雪は、空気中の水蒸気が、ゆっくり凍ることによって結晶になったもの。水の分子はひらがなの「く」の字　をしていて、折れ曲がったところが別の分子の両端と結合しやすいのです。そのため、複雑な形の結晶が　出来ます。冬、息を吐くと白くなるのは、息の中に含まれた水蒸気が、外の詰めたい空気で冷やされて　水の粒になったもの。　おユキさんの場合は逆に、冷たい息を吐いて、空気中の水蒸気を雪の結晶にしてしまったのでしょう。　雪ができる温度は、マイナス２０度からマイナス５度。それより高くても低くても、結晶は出来ません。　息の温度は、体温とほぼ同じなので、平熱がものすごく低い人だということになります。　実際に、おユキさんは風邪を引いて、体温が５度に下がったことがありました。冷気を発散して体温を　上げようとしたのですが、ますます下がってマイナス１５度に。おかげで海王星全土が凍結しそうに　なりました。海王星の表面温度は、マイナス２２０度。それをさらに下げようというのだから、恐るべき　低体温体質！　温暖化が進む現在、ぜひとも地球に来て欲しい人ですね！　というわけで、「うる星やつら」に出てくる人たちは、電撃を出すラムちゃん、炎を出すテンちゃん、　雪を出すおユキさんと、本当にスゲ～やつらですよね！


「君の吐息が雪になる」実験手順。






糸にクリップをつける。






爪で糸をシゴき、ケバ立てる。






クリップの付いた方をペットボトルに垂らす。






ドライアイスをたっぷり入れて、ペットボトルを押し込む。






フタをして２０～３０分待つ。すると…






糸の途中に雪の結晶が！皆さんもぜひやってみて下さい。






沙紀ちゃん作「ラムちゃん」。

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