武井咲と柳田理科雄のラジオ空想科学研究所
注目の美少女タレント!武井咲と300万部の大ベストセラー「空想科学読本」の著者にして、空想科学研究所主任研究員である柳田理科雄が夢のコラボレート!
アニメや映画、特撮の「あの名場面」を科学の視点から鋭く分析するという「空想科学」の世界を、日頃忘れていた理科や数学の話も織り交ぜながら「分かりやすく、痛快に、面白く」展開します。
二人の研究活動に是非ご期待ください!
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株式会社 村田製作所
 
武井咲
2006年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」モデル部門賞・マルチメディア賞を受賞。06年から「SEVENTEEN」(集英社)の専属モデルを務める。テレビドラマ「オトメン」「GOLD」でのレギュラー出演のほか、CM・雑誌で活躍。愛知県出身の16歳。
柳田理科雄
1961年鹿児島生まれ。
ベストセラー『空想科学読本』著者で、現在は空想科学研究所・主任研究員。
明治大学理工学部物理学科の非常勤講師を務めるなど、多岐にわたって活躍する理系作家。
更新日: 7月18日
 
7/16放送の研究テーマは、
『竜宮城の歩き方!』でした。

「ウルトラの星」に続く、“歩き方”シリーズ第2弾の今回。
放送日の翌日が「海の日」ということで、
我々もいつ招待されてもいいように、
浦島太郎が訪れた竜宮城について科学的に研究しました。


★亀には必死に乗ろう!

 浦島太郎は、助けた亀に乗っ、竜宮城へと行きました。この時、浦島太郎は、亀の甲羅にあぐらをかいて
 乗っていましたが、水の浮力は大丈夫だったのでしょうか?
 海ではプールなどより大きな浮力が働きます。浦島太郎のように亀の背中にあぐらをかいていると、
 体は浮力で浮き上がり、亀だけが竜宮上へまっしぐら!

 さらに、水の抵抗が襲いかかります。陸ではのろい亀ですが、ウミガメが泳ぐ速度は時速20km。
 アテネオリンピック金メダルの北島康介選手でさえ時速6kmなので、その3倍を超えます。
 この速度で亀の背中にあぐらをかいていると、水の抵抗でまたしても水中に取り残され、またしても
 亀だけが竜宮城にまっしぐら!

 やはり、あぐらなどかいていないで、太郎は亀の甲羅にしっかりつかまっていなければなりません。
 しかし、体を伏せても計算上77sの抵抗を受けます。体重とほぼ同じであり、つまりはガケの縁に
 つかまっているのと同じです。
 というわけで、亀に乗る時は、両手でしっかりと甲羅の縁を握り締め、姿勢を出来るだけ低くして
 背中にへばり付き、水の抵抗を最小限に抑えましょう!


★竜宮城に「釣り竿」を持ち込むのはマナー違反!

 浦島太郎は重大なミスを犯しました。どの絵本を見ても、彼は釣り竿を担いで竜宮城を訪れているのです。
 大事な釣り竿を手放さないのは、猟師としては立派ですが、それは魚たちにとって、多くの仲間の命を
 奪ってきた兵器です。
 しかし、乙姫様も魚たちも、浦島太郎を大歓迎。おそらく、太郎が猟師であることに気づかなかったの
 でしょう。それもそのはず、空中から水中が見えないのと同じように水中から空中も見えにくいのです。

 これは、光の屈折のおかげです。屈折とは、光や音などの波動が、ある空間から別の空間に進む時、
 その境界面で進行方向を変えることを言います。
 おそらく、魚たちは釣竿を見たことがなかったのでしょう。
 というわけで、竜宮城には釣り竿などを持って行かないのがマナーです!


★玉手箱を開ける時は、亀田三兄弟よりもすばやくよけろ!

 竜宮城の乙姫様は、とても不思議なことをしました。玉手箱をあげて「決して開けてはいけません」と
 言ったのです。開けてはいけない玉手箱を、なぜくれたのでしょうか?
 問題は中身です。もちろん、煙が入っていました。しかし、煙というものは油などの粒なので、
 箱に入れておくと、壁にくっついて煙ではなくなってしまいます。するとなぜ、浦島太郎が開けた時、
 煙が経ち昇ったのでしょうか?
 よく考えたら、煙以外にも入っていたものがあります。それは「空気」です。乙姫様は、亀が水中を楽に
 上がれるように、浮き袋の変わりに玉手箱に空気を封入して浦島太郎に持たせたのかもしれません。

 しかし、海底では、空気は水圧のために縮んでしまいます。水圧は、10m潜るごとに1気圧ずつ上がって
 いきます。竜宮城が海底100mにあったとすれば、海面では1気圧だった空気が10気圧上がって
 11気圧になります。
 炭酸飲料のフタをプシュッと開けると、飲み口の周りに霧が立ち込めることがあります。
 これは、ガスには急に圧力が下がると、温度が下がる性質があるからです。
 それで、空気中の水蒸気が凝結して霧になるのです。雲が出来るのも同じ原理です。

 浦島太郎が玉手箱を開けた時、中の空気は11気圧から1気圧に下がります。これによって温度は125度
 も下がります。これで霧が発生したのだ。玉手箱から出てきたのは、煙ではなく「霧」だったのです。
 そういうことになると、開けるなと言った乙姫様の気持ちも分かります。1気圧とは、1cm2あたり
 1sの力。玉手箱が縦20cm、横20cm、深さ10pだったとすれば、玉手箱の蓋は、内側から4tの力で
 押されていたのです。

 ここで、蓋を縛っていた紐を解くと、玉手箱が飛んできて顔面を直撃。蓋の重さが500gだとすると、
 その速度は、なんと時速600km! 野球のピッチャーの時速150kmのストレートを57発同時に食らう
 のと同じです。顔面陥没は必至。
 おそらく、浦島太郎は瞬間的によけたのでしょう。しかし、これは怖かったはず。もしかしたら、
 あまりの恐怖で、髪が真っ白になったのかもしれませんね。
 玉手箱を開ける時には、パンチをよけるボクサーのように、すばやくよけましょう!

 というわけで、竜宮城に向かう上で亀に乗る時は、甲羅にへばり付いて水の抵抗を最小限に抑えて・・
 また、マナーとして釣り竿などは持ち込まず・・最後に、玉手箱を開ける時はすばやくよけましょう!

 
浦島太郎は竜宮城に着く頃には、ヘトヘトだったかもしれませんね。
浦島太郎は竜宮城に着く頃には、ヘトヘトだったかもしれませんね。
 
 
 
竜宮城より「熊本城」の方がいいという、沙紀ちゃん作「浦島太郎(想像)」。
竜宮城より「熊本城」の方がいいという、
沙紀ちゃん作「浦島太郎(想像)」。
 
 
 
亀に乗る練習!?
亀に乗る練習!?
 
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