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年老いた毛の行方 |
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カンヌ国際映画祭での審査員賞を始め、サン・セバスチャンとバンクーバー映画祭での観客賞、アブダビ映画祭での脚本賞、ほか世界各国で賞を手にしてきた映画「そして父になる」。
今年の映画界を彩った作品としてその栄誉を称し、
「魂ラジアワード2013」
に監督・脚本・編集を務めた是枝裕和さん、福山さんと対照的な父親役を演じたリリー・フランキーさんをお招きした今回の魂ラジ。
(その詳細は昨日のブログで!)
撮影現場ではどんな演出が行われていたのか?
数々の映画賞を受賞した今の心境は?
など、ここでしか聞けない3人の「魂ラジ的ティーチイン」をお送りしました。
まずは、「そして父になる」のリメーク権を取得したドリームワークスを率いる世界の巨匠・スピルバーグ監督も絶賛したというショッピングモールでのシーン。
お金ですべて解決しようとする福山さんに対し、リリーさんが怒って頭をたたく場面について、
「頭をたたくときの躊躇の仕方が素晴らしい」
とスピルバーグ監督が褒めていたということを聞くと、
L「あれよく言ってもらえるんですけど、本当に謙遜じゃなくて福山くんと監督あってのシーンなんですよ。」
と説明するリリーさん。
実は台本をもらったときから、あのシーンが嫌で仕方がなかったそう。
人をたたくのはもちろん、プライベートでも親交のある福山さんをたたくことにためらいと嫌な気持ちをずっと持っていたとのこと。
L「それに福山くんもすぐ気づくんだよね。」
F「だって撮影する日に朝からずっとブルーなんだもん(笑)」
撮影現場にどんよりした表情で入ってきたリリーさんを見て
「また朝まで飲んでたのかな?」
と最初は思ったものの、あのシーンに嫌な気持ちを抱いていたことに気付いた福山さん。
ためらいがないように
「思いきり叩いてください」
と声をかけても、リリーさんの気持ちは晴れなかったよう。
L「身体から悲しくなってきて、それが役から来てるかって言うと…(笑)」
K「でもそれをすごく褒めていたので、『有名な俳優なのか?』って聞かれて僕もすごく困っちゃったんです。」
「元はイラストレーターだ」とスピルバーグ氏に是枝監督が説明すると、とても驚いていたとのこと。
主演の福山さんも助演のリリーさんも、自分の仕事上のカテゴリを一つではまとめられないため、海外に行くときには職業の欄に「俳優」ではなく「会社員」と書いていることを知ったら、どんな表情をするでしょうね…(笑)
続いてリスナーからの質問であがったのが、お風呂場のシーン。
リリーさんが子役の慶多くんに自分の胸を押させて口から水を噴き出して遊ぶあの場面が印象に残った方は多かったようで、
「監督の演出なのか、リリーさんのアドリブなのか」を聞きたいというメールがいくつも届きました。
L「監督が細かく演出されたところはお客さんみんな気になるんですね。」
この質問に、一言目そう答えるリリーさん。
先ほどあげた頭を叩くシーンも、お風呂場で遊ぶシーンもどちらも是枝監督が動きから言葉まですべて細かく指示を出した演出だったそう。
K「僕が子供にやったことをそのまましてもらおうかと思ったもんだから。」
L「『ここを押して、こう出して』って細かく言ってて。」
F「監督が実際にお子さんにやられたときはどうだったんですか?」
K「ウケました。」
F「じゃぁ自信のある行為だったんですね。」
K「でも後になってカミさんに汚いって怒られました。」
L「僕も監督のせいでインタビュアーに不衛生ですって言われました。」
是枝監督の演出は非常に細かいときと、何も言わないときとに分かれるとのこと。
ざっくりとした指示のときには、「もう1回やって」の一言だけで終わるため、
どこを直して演じるべきなのかが分からず役者側が困ることもあったそう。
K「思った通りに出来ちゃうと『次やったときに崩れるかな?』って新しい提案をしたい欲が出てくるんです。だから相手に任せて『もう1回やってみましょうか』っていうずるいことをします。」
F「あと監督で印象的なのは、モニターを持ってカメラの横に立つときに、良いときはうなずくんです。うなずいてないときは「こりゃダメなんだろうな」って思ってました。」
L「僕はよくそのモノマネをしていました。」
K「ほんとに?(笑)」
L「映画監督のモノマネの1つに入れさせてもらいました。」
いつの間にモノマネのレパートリーに入れられていたことに驚く是枝監督。
実際にやるときには、すごく静かで動きの少ないモノマネ披露になりそうですね…(笑)
そしていろんなお話を伺っているうちに、是枝監督が次のお仕事に向かう時間に。
最後に、2013年を振り返っての感想をいただきました。
K「後半は半分くらい日本にいなかったんですけど、今年はすごくいい1年だったなぁ〜充実してた!おかげ様で出会いにも恵まれ、たくさんの人に作品も届いて。」
充実していたことがその穏やかな表情からも分かるような笑顔でお話して下さった是枝裕和監督。
「魂ラジアワード」という実態も分からないような授賞式にお越しいただき、ありがとうございました!
さて、残りの時間はリリーさんとの2人トーク。
改めて、会場が感動に包まれたカンヌ国際映画祭の上映会について振り返りました。
F「今でもスタンディングオベーションのときの映像があって良かったなって思いました。無かったら夢のようで。」
L「伝え方も難しいしね。『みんながすっげー拍手してて、立ち上がってて…』だと分からないし(笑)」
F「ですよね(笑)」
カンヌでの上映会を終えたとき、会場中が立ち上がり監督や福山さん、リリーさんらに大きな拍手と「ブラボー!」と声をかけてくれたあの場面。
思わずみんなが涙してしまうほどの感動的な時間は、2人の心にも強く印象に残ったよう。
F「何もかもが初めて、しかも良い事ばっかりの嫌なことが一つもない初体験を40を超えてあるっていうのが本当に幸せなことだと思って。」
会場に入っていくときの盛り上がり、上映が始まるときの静けさと緊張感、終わったあとのスタンディングオベーション…
映像で伝わるものもあったものの、やはりあの場でしか味わえない空気感があったんですね。
そんな特別な経験を共有できた2人。
先日迎えたリリーさんの50歳のお誕生日会も一緒にお祝いしたそうで、ここからは年齢的なあるある話に。
L「『50歳』って人に言われて記号化していってから、急に体が老けて行ってる気がする。」
F「あぁ〜意識するとなりますよね。」
L「だから記号化しちゃいけないなと思って。」
そんなリリーさんから、年が明けた2月に45歳の誕生日を迎える福山さんへ先輩としてのアドバイス(?)を送ります
L「変なところから毛が生え始めますよ。膝とか耳とか(笑)」
F「僕も最近、鼻毛の白髪とタマの白髪がほんとに増えて。」
L「棒から毛が生えてこない?」
F「それこないだも言ってましたけど、無いですよ(笑)」
L「急に棒からにょろにょろみたいのが出てきて。」
明るい陽射しが入るトイレで、改めてまじまじと自分の棒を見つめたというリリーさん。
50歳になった自分に、そこで衝撃を覚えたよう。
L「ボロになったなぁって。」
F「あー(笑)」
L「芯の部分は変えられなくても、皮を張り替えるくらいは今の医療なら出来るんじゃないかなぁ…。」
そのあまりの退化に、人間のものじゃなくていいから良い皮に張り替えたいと願ったそう。
今は否定している福山さんも、5年後にはラジオで同じことを語っているかもしれませんね…。
と、最後にはやはり下の方向に話が進んでしまった2人。
福山さんとリリーさんが揃えば、必然の道なんでしょうか…(^^;)
是枝裕和監督、リリー・フランキーさん、
「魂ラジアワード2013」の受賞おめでとうございました!
来年は一体、どの方が栄冠のトロフィを手にするのでしょうか?
そして次回の魂ラジには、年末のお茶の間にひと暴れ見せてくれそうな、泉谷しげるさんが魂ラジ初乱入!
紅白初出場までの経緯や感想、福山さんとのエピソードなどを語ってくれました。
みなさんお聴き逃しなく!!
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投稿時間:2013-12-18 19:39:48 |
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