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1月21日 小原信治の草の根広告社
忘れてはいけないこと。
 
一月十七日、午前五時四十六分。
僕は自宅のテレビの前で被災地に向けて手を合わせていた。五時間ほど前に生放送を終え、一睡もしていなかったにもかかわらず、どんどん目が冴えていた。大阪であの震災を体験してから、十五年。瞼の裏に色々なことが甦って来た。この十五年、震災を通じて出逢った人たちの「今」を思った。

 目を開けると、ブラウン管の向こうの東遊園地で鎮魂の祈りを捧げる人たちの目に、涙が溢れていた。亡くなった方に対する悲しみだけではない、色んな種類の涙があるような気がした。そして、映像が震災の傷跡など微塵も感じないまでに立て直された神戸の街並みを映し出す頃になると、僕自身の目にも涙が溢れていた。亡くなった命に対する悲しみでもなければ、復興を喜ぶ嬉し涙でもない。何なんだろう。僕は震災当時からこれまでのことを思い出しながら、その涙の理由を考えてみた。

 あの震災が、十五年経った今も日本中で特別なものとして存在し続けていることのひとつに、人が初めて体験する都市部での大規模な地震だったことがあると思う。人間が自然から身を守り、より快適に生きる為に造り続けて来た都市。人が富と繁栄の象徴と信じていたそれを、大自然はたったの数十秒で破壊したのだ。そして、都市を造り上げていく課程で僕たちの間に生まれていた「格差」を暴いて見せたのだ。

「自然の前で、人間は無力だと言うこと」
「都市を成長させながら生きていく限り、人は平等ではいられないこと」

 あの震災でそのことに気づかされ、絶望した僕たちを救ったのは、人が元来持っていた、やさしさだった。互いに手を差し伸べること。助け合うこと。励まし合うこと。競争社会で切磋琢磨できている時には忘れてすらいたそんな当たり前の大切さを、震災は改めて教えてくれた。
 あれから十五年。人間はまた、都市を造り上げた。誤解を恐れずに言えば、懲りももせずに。僕はたぶん、そのことの愚かさに、自分が涙を流したのだと知った。でも、少し考えてすぐに、それが間違った認識であることに気づいた。
 なぜなら、神戸は以前の神戸に戻ったわけではないからだ。それを教えてくれたのは、この十五年、震災を通じて出逢った神戸の、そして関西の方たちだった。震災十年目に神戸で出逢ったタクシーの運転手さんも、震災をテーマにした本を書いた時に取材してくれた朝日放送の「Newsゆう」の皆さんも、一緒に震災のドラマを作ったスタッフも、先日、「震災とラジオ」というテーマで魂ラジを取り上げて下さった朝日新聞の記者さんも、みんな被災者のひとりだった。そして、誰もがやさしかった。震災に遭って「本当に大切なこと」に気づいた分だけ、誰もが震災前よりもやさしくなっているような気がしたのだ。震災以前のその人たちのことは知らないけれど。でも、そう思ったのだ。同じ社会でせかせかと生き、やさしさや思いやりを失いがちな僕にはない何かを感じたのだ。
 やさしさ。思いやり。互いに手を差し伸べること、助け合うこと、励まし合うこと。震災が気づかせてくれた、当たり前の大切なこと。それもまた、震災から何年経っても、誰もが忘れてはいけないもののひとつなんだと、改めて思った。

小原信治
投稿時間:2010-01-22 00:37:38
 
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