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本当においしいもの、食べてますか? |
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料理をするようになった。ぶり大根。ポトフ。ミネストローネ。パスタ。なめろう。その日、食べたいと思ったもののレシピをネットや本で調べ、必要な材料をマーケットに買い出しにゆく。おそらく今この国の大部分の消費者がそうであるように、僕もまた、あの一件以来、食材の原産地を必要以上に気にするようになってしまった。何を信じれば良いのか分からなくなってしまった。
「結局、食材から自分で作るしかないんじゃないのか?」
偽装。異物混入。自給率の低下。食品に関するニュースを見るたびに、そんな極端なことを思うことも少なくない。
そんなある日、とある仕事の取材でこんな方に出逢った。千葉で農業をされている、浅野悦男さんという方だ。
「農業じゃなくて、脳業です」
自らの仕事をそう説明する浅野さんは、僕が思っていた農業の既成概念を簡単に覆してくれる人だった。普通の農家の方が畑に出る早朝はテレビで先取りの流行をチェック。その後、ヒップホップな感じのジャンパーに、スカルのネックレスという出で立ちで畑に出て、自らが認めたレストランにのみ野菜を提供するという独自のビジネスモデルで農業をやっている方だ。日本では栽培が難しいと言われているイタリア野菜などを作っているのだけれど、そのモノ作りの精神は、他でもない福山さんにも通ずるところがあるような気がした。
「毎年必ずひとつは今まで作ったことのない野菜に挑戦するんです」
通常、農家といえば毎年同じものをコンスタントに生産するのが仕事だが、それでは飽きてしまうのだという。しかも挑戦するのは、どれも日本では栽培が難しいからとか、採算が合わないから、などの理由で殆ど作られていない品種ばかり。
「みんなと同じものを作ったら私がやる意味がないじゃないですか」
誰もやっていないことへの挑戦。そこには常に自らの創意工夫が不可欠となる。
「作るんじゃなくて、創るんです」
そんな浅野さんは、毎年ミラノコレクションなどの先取りファッションのチェックを欠かさないという。
「レストランに来る人がどんな服装で来るか分からないと、どんな色合いの野菜を出せばいいか分からないじゃないですか」
僕は完全にひとりのアーティストと話しているような錯覚に陥っていた。いや、錯覚などではなく、アーティストなのだ。作っているものが野菜というだけで。
ファームの横にあるテストキッチン(浅野さんは自分の野菜が火を通すとどうなるか、なども試しながら作っている)で穫れ立ての野菜でサッと調理したイタリアンを食べさせて頂いた。
安心して食べられるおいしいものが、日本にはまだまだあることを実感した。
そんな浅野さんの野菜は、なんとカメラマンのゆっけ同様、福山雅治のオールナイトニッポンTV出身のシェフ平井正人さんが腕を振るうイタリアンレストラン「ダルマット」でも食べることができるので、気になった方はぜひ。
小原信治
〈お知らせ〉
先週ここに取材を受けたと書いた週刊誌は「週刊プレイボーイ」です。
10代の頃、エッチなグラビアに大変お世話になりました。
20代の頃、社会派な切り口に大変お世話になりました。
そして38歳、「週刊要注意人物」というコーナーでお世話になりました。
3月3日発売です。
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投稿時間:2008-02-28 07:15:25 |
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