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魂ラジブログ
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1月24日 小原信治の草の根広告社
君は自分の夢に正直に生きられていますか?
 
本当はセックスピストルズのシド・ヴィシャスみたいになりたかった。
先週の魂ラジで福山さんの「中高年にエレキギターが売れている」という話を聞いて、僕は10代の頃に憧れたパンクヒーローのことを久し振りに思い出した。原付を買った残りのバイト代で手に入れた、シド・ヴィシャスが使っていたのと同じようなフェンダーのベース。でも僕が憧れの人に近づけたのはそこまで。
せいぜい部屋の全身鏡に映るベースを下げた自分にうっとりしつつ、タブ譜を見ながらピストルズのレコードに合わせて弦を叩くだけ。セックスピストルズのようなバンドを演ることも、ナンシーみたいな恋人を作ることもできなかった。理由は簡単だ。当時つきあいのあったのは、ハコスカだの86レビンだのに乗ってサザンをガンガン掛けながら134号線を走るヤンキーばかりで、とても仲間うちにバンドはおろか、ピストルズに興味のある人間すらいなかったこと。高校に軽音楽部があることはあったものの、つきあいのあった仲間たちは、そういう連中のことを「髪立ててバンドなんかやって、モテたいんじゃねえの?」とバカにしたような目で見ていたこと。そして何より、勇気がなかったことだ。
 そう、僕には自分のやりたいことを正直に口にする勇気がなかった。
音楽の授業は小学校からずっと2。怖かったのだ。自分の夢に早々と「無理」という結果が出てしまうことが。
 サーフィンもそうだった。バイクも、乗れば確実に入りたくもない暴走族に入らねばならないような町にいたので「車の方がいいよ」とうそぶいてた。でも、本当はセックス・ピストルズのようなバンドがやりたかったし、サーフィンがしたかったし、原付じゃなく、オートバイで風を感じてみたいと心の中ではずっと思っていた。
 そんな僕がようやくバンドを組めたのは、大学に入ってからのことだ。それまでのヤンキー仲間とは全く違う世界の人間たちと交わったことで今まで自分を縛り付けていた呪縛から解放されたのだろう。でも、そこまでだった。
「最初だけだからさ」
 生まれて初めてのステージとなった大学の学園祭で演ったのは、多数決で決まったBOOWYやジュンスカイウォーカーズなど、当時の流行りモノのコピー。やっぱりシド・ヴィシャスにはなれなかったわけだ。いや、続けていればいつかピストルズを演ることもあったのかもしれない。でも、僕は学園祭の前後に突然、昨日まで存在すら知らなかった「放送作家」なんて仕事を始めてしまい、大学にも行けないくらい忙しくなって、気がつけばせっかく組めたバンドからもバンド名が決まる前に足が遠のいてしまったのだった。

 「これからは自分の夢に正直になろう。やりたいことをやりたいようにやろう。たとえ、周りの誰かにどう思われようとも…なるべく」
 そう思えるようになったのは、30歳を越えて大型免許を取り、憧れのバイクに涙が出るような感動を憶えたときだった。どうしてもっと早くバイクに乗らなかったんだろうという後悔がその決意に拍車を掛けていた。そんなバイクを通じてCrazy Horseのかけがえのない仲間たちと、かけがえのない時間を共有するようになったおかげで、少年の日の憧れだったサーフィンにもチャレンジすることができた。
 ピストルズにシド・ヴィシャスも、自分でバンドを組めたわけではないけれど、2005年に小学館の「ビッグコミックスピリッツ」で連載した漫画「GO!GO!HEAVEN!自決少女隊」という形で、なんとか結実できた気がする。劇中のバンド「自決少女隊」はまさに僕が組みたかったバンドであり、主人公のジュリアは憧れのミュージシャンの生き方そのものだった。

 こんな風に少しずつではあるが、本当にやりたかったことに近づく自分がいる一方で、今も尚、本当にやりたいことに気づいていながら、やっぱりあの時のように結果が出てしまうことを怖がり、他人に言う勇気がなくて、強がって、うそぶいて、分かった大人のフリをして、本当にやりたいことから逃げ続けている自分自身が際立っても来る。だからこそエレキを買う中高年たちの話を訊いて思ったのだった。
 「自分の夢に正直に生きられている人はどれくらいいるのだろう?」と。
 たとえ叶うことはなくても、そのリスクを背負い、夢を貫いて生きている人を僕は尊敬する。たとえば、初恋の人と結婚したという人に会うたびに、世界中で一番好きな人にちゃんと「好き」と言えた勇気に敬意を表するように。
 僕はまだまだだ。自分の本当の夢に正直にはなれていない。その夢を選んだときのリスクを恐れ、言い訳して、うそぶいて、ダメでも傷つかない二番目や三番目の夢で自分を誤魔化して、生きている。何より、その夢をここに書けないことがそれを物語っている。
 今年で39歳。もう時間はないのに…。

 君は自分の夢に正直に生きられていますか?

小原信治

投稿時間:2008-01-24 01:33:44
 
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