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5月9日 魂ラジレポート
「東京タワー 〜ボクとラジオと、時々オカン〜 幼少篇」

1980年、長崎県長崎市。
港町を見下ろす標高333メートルの稲佐山にある、
とある小学校を中心に、小さな町を揺るがす大事件が起きた。

「先生、福山くんがいません!」

神隠しか?UFOによる連れ去りか?
キャトルミューレーションか?

そう、そのとき失踪した少年こそ、
21世紀目前の2000年、この稲佐山でデビュー10年目の祭典ライブをやるなどとは、
まだ夢にも思っていなかった、11歳の福山雅治だった。

これは、18歳で故郷長崎を旅立った後に、
東京でラジオ界の国宝となったひとりの男の、幼き日の物語である。

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ある雨の日、ボクは幼稚園からの帰り道、
傘をさしながらてくてくと歩いていた。
そのとき、後ろから一人の女の子が声をかけた。
「福山くん、一緒に帰ろう?」

「!!!」
ボクは、驚きのあまり言葉を失ってしまった。
「うぇ〜ん…」
そして、大粒の涙を流しながら帰宅したのである。
家に帰ると、両親は大泣きしている息子を見て驚いた。
「どがんしよった、雅治?」
「女の子に『一緒に帰ろう』って誘われたよぉぉ…」
泣きながら説明する息子に、父親は一言。
「ふっ…バカばい」
そう、男兄弟の中で育ったボクは、女性に対する免疫が全くなかったために、
女の子に声をかけられただけで恥ずかしすぎて泣いてしまうほど、
非常に純情な少年だったのである。

しかしそんな内気なボクも、
墓とび(外人墓地で、平らな墓石を次々に跳び、誰が一番早いか競う)に熱中したり、
(※よいこは真似しないでね!)
木登りや釣りに興じたりと、長崎の自然の中でたくましく育っていった。
そして小学校にあがる頃には、悪友と一緒になって、「ケンカしてまわろうぜ」と、
各クラスのガキ大将にケンカを挑む、文字通り「悪ガキ」に成長していた。
ボクはその頃空手を習っていて、習ったばかりのローキックをお見舞いすると、
自分よりも大きなヤツらがバタバタ倒れていくのが、おもしろくてたまらなかったのだ。
そんなわけで、ボクらは学校中でイスを投げ飛ばし、
得意のローキックをしてまわった。
しかし、そんな乱暴な少年が、野放しにされておかれるわけがない。
「こらーっ!」
すぐに担任の先生が追いかけてきて、その場でものすごい往復ビンタをくらった。
「正座しとかんね!」
ボクたちは鼻血をぼたぼたたらしながら、おしおきをうけたのだった。

極めつけは、「ボイコット事件」である。
当時、冷戦の影響から日本を含め、西側諸国がモスクワオリンピックをボイコットする、
という衝撃的なニュースが世間を賑わせていた。
「日本がオリンピックをボイコット」という新聞記事を読んで、
親父はボクにこう言った
「雅治、これ見てみろ。これがボッコイドだぞ、ボッコイド」
「ボッコイド!すげー!なんかよくわかんないけど、かっこいい!」
初めて耳にした「ボッコイド」ならぬ「ボイコット」という響きは、
小学生のボクに、強烈な印象を与えたらしい。

次の日、学校では体育があった。
「体育」という言葉から「オリンピック」を連想したボクは、
親父の言葉を唐突に思い出した。
「雅治、これがボッコイドだぞ、ボッコイド」
…そうだ、ボクも「ボッコイド」してみよう!

「なぁ、次の体育、『ボイコット』せん?」
ボクは、体育の授業に行こうとするTくんにボイコット計画をもちかけた。
「え?なんね?『ボイコット』ってなんね?」
「『ボイコット』ってあれたい、オリンピックに行かんことたい」
「おもしろか!やんべ、やんべ!」
ボクと同じくらいバカでアホだったTくんは、
あっさりボクのボイコット計画にノッた。
体育館に走っていくクラスメイトたちを尻目に、ボクらがボイコットした先はなんと…
「教壇」の下。
木製の教壇の中は、子どもが2人入りこむのには十分なスペースだった。
適度に暗い教壇の中で、念願の「ボイコット」をしたボクたちは、
うとうと、うとうと…と、次第に眠りに落ちていった…。

…数時間後。
ハッと目が覚めたボクたちは、どうも周りが騒がしいことに気がついた。
教壇の中から聞き耳を立てていると、どうやらおまわりさんまで教室に来ているらしい。
そして恐ろしいことに、かあちゃんの声までするようだ…。
教壇の中でボクとTくんは、身震いした。
しかし、いつまでもここにいるわけにはいかない。
ボクたちはこっそり、こっそり、教壇を動かして、
「ごそっ」と這い出た。

いっせいに、教室中の注目がボクたちに集まる。
まさにハトが豆鉄砲を食ったような顔をして、クラスのみんながボクたちを見ていた。
体育の授業が始まる前まではピンピンしていたボクとTくんが、
何の届出もなしにこつ然と姿を消したのだから、
皆が青ざめるのも当然だ。
警察はもちろん、家にいたオカンにまで連絡がいき、
ボクらの起こしたボイコット、いや「失踪事件」は、
学校中で大騒動になっていたのだった。
その後、ボクがオカンからまたもや強烈なビンタを食らったのはいうまでもない。

「太陽にほえろ!」に憧れて、「刑事になりたい」と思っていた小学生のボク。
まさか20年後の2000年、稲佐山でデビュー10年目の祭典ライブをやることになるなんて、
こんな風に、念願のオールナイトニッポンでパーソナリティーをしているなんて、
そしてノーパンでライブのステージに立つ「ノーパン・シンガー」になるなんて、
その頃のボクは、知る由もなかった…。

(つづく?)
投稿時間:2007-05-09 20:30:58
 
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