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魂ラジブログ
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3月13日 魂ラジレポート
「東京タワー〜ボクとラジオと、時々オカン〜 第一話・前篇」
1987年、9月。夕暮れの長崎駅4番ホーム。
そこは、16時50分 長崎発東京行きの寝台特急、
「ブルートレインさくら」の発着ホーム。
憧れを抱いて、旅立つ者。
夢破れて、帰路につく者。
さまざまな人生が交錯する人波の中に、
安物のサングラスを掛けた一人の少年の姿があった。

福山雅治、18歳。
これは、彼が故郷長崎を旅立ってから、
東京で「ラジオ界の国宝」と呼ばれるまでに至った、
20数年にわたる、壮大な上京物語である。

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「私は、
この度、一身上の都合により、8月31日をもって退職いたしたく…」

それは、初めて書いた「辞表」だった。
当然、書き方なんてわからなかったから、
長崎駅前の本屋で「冠婚葬祭のマナー」みたいな本を立ち読みして書いた。

ボクがこの会社に入った理由は、
「自宅から徒歩5分だった」から。
そして、「学科試験がなかった」から。
それだけだった。
電機メーカーの営業職。
ボクはそんな肩書きを、入社数ヶ月で、捨てた。

そもそもボクは、中学生の頃から高校に進学するつもりがなかった。
憧れのバンド、THE MODSの本で読んだ、
「音楽をやりたくて、ぞうり履きのまま東京に出てきた」。
そんなエピソードをまるごと信じ込んでいたボクは、
「ロックバンドを志す者は、中学を卒業したら、東京に行くもんだ」、
そう思い込んでいた。
しかしある日、仲間内でも不良として名を馳せていた友人が、つぶやいた。
「高校くらい出とかんとな。親に申し訳ないしな」。

「中学を卒業したら、みんな東京に行くもんだ」。
ボクは、そう思っていたのは自分一人だけだった、ということに初めて気がついた。

入試まで一週間と、ちょっと。
そのときから、ボクの受験勉強が急ピッチで始まった。
ボクは、一日8時間机に向かった。
後にも先にも、そんなに懸命に勉強したことはないんじゃないだろうか。
視力が急激に落ちたのも、その頃だ。

結果は、3戦2勝。
すべりどめの一校に落ち、受かったもう一方のすべりどめの学校には、
風の噂で「とてつもなくケンカが強い不良が進学するらしい」と聞いた。
以前ヤツともめたことがあったボクは、必然的に本命だった工業高校を選んだ。

すべりどめセーフで決まった、高校進学。
でもボクは、せっかく受かった高校にまったく行く気がしなかった。
ただただ男くさい、工業高校の空気。
そんな高校に嫌気がさし、女子のいる商業高校を受験しなおす同級生たち。
ボクの気持ちは、どんどん高校を辞める方向に傾いていった。
しかし、オカンが「辞めていい」なんて言うはずがない。
ボクは、なんとか高校を辞める方法を模索していた。

毎日辞めることばかり考えていたボクは、
「辞めさせてもらえないなら、退学になればいい」と考えた。
一縷の望みとともに生徒手帳を開くと、そこには、「退学」の条件が三つ、並んでいた。

一、 強盗。窃盗。
二、 婦女暴行。
三、 暴力行為。

「…コレだ!」
さすがに犯罪者になる勇気は持ち合わせていなかったボクは、
「暴力行為をはたらいて退学になる」ことを決意した。

ボクは、クラスでちょっと気に入らなかったヤツに狙いを定めた。
今思えば、もちろんそいつは何ひとつ悪くなかったと思う。
でも、ボクの頭にはとにかく「退学」の二文字しかなかったのだ。

みんなが見ている前でやらなきゃ、意味がない。
そう思ったボクは、そいつを大勢の前に連れ出して、一暴れした。
周りには、どんどん人の輪ができ、ついに先生が止めに来た。
「やった!これで、『退学』という名の完全犯罪が実現した!」
心の中で大きくガッツポーズしたボクに、先生は神妙な面持ちでこう告げた。

「みんな、いいか。よく聞け。
このことは、誰にも言うな。
福山、仲直りの握手だ。ホラ。
いいな、みんな。くれぐれも、誰にも言うんじゃないぞ!
わかったか!?」
「ハイ!わかりました!」

ジ・エンド。
ボクの退学劇は、こうしてあっけなく幕を閉じた。

やっとのことで高校を卒業し、就職先も決まったボクが、
「仕事辞めて、東京行くわ」とオカンに告げたのは、
それから数年後のことだった。


(つづく)
投稿時間:2007-03-13 22:50:04
 
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