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3月8日 小原信治の草の根広告社
映画「不都合な真実」が描き出した真実
 
 それは意外にも、未来に「希望」の持てる映画だった。
そう、絶対値と百人一首を能動的に未履修した福山さんが観て、バカでエロでエコになった映画『不都合な真実』。地球温暖化の影響で北極の氷が溶け、世界の各都市が海の底に沈むなどの恐ろしいシミュレーションを散々見せられたにもかかわらず、映画館を出たぼくの胸は未来への「希望」に満ち溢れていた。
 おそらくこれが同じ題材で20世紀に作られた映画なら「あぁ、人間はなんと地球に取り返しのつかないことをしてしまったのだろう!」的な終末感漂う暗い映画になっていただろう。事実、核兵器開発競争が招いた冷戦下の1970年代、ハリウッドではこうした先進国の招いた人類の危機が絶望的な未来とともに描かれた映画がたくさん製作された。そういう映画をたくさん観て育ったぼくは、こういう”アメリカを信じていないアメリカ”が好きだった。人間を信じないがために銃社会になってしまったアメリカの愚かな人間らしさが嫌いじゃなかった。だから、「アルマゲドン」に代表されるような、未曾有の危機に晒された人類を最後は「奇跡の人間力」で都合良く救う映画は、嘘臭い綺麗事のようで嫌いだった。この「不都合な真実」のラストも、「アルマゲドン」のようなハリウッド映画に観られる、人間賛歌な文脈で締め括られていた。
「確かに世界最大のCO2排出国であるアメリカは京都議定書に批准していない。でも、人間は、アメリカはバカじゃない。だから近い将来、きっと未来のために地球温暖化を阻止するだろう」
 これだけを訊けばいったい何を根拠に、と思うだろう。しかも、地球温暖化は『アルマゲドン』のような架空の危機ではない、今起きている危機なのだ。そんな人間賛歌を提示されても、嘘臭い綺麗事としか思えなかっただろう。でも、アル・ゴアが提示した根拠が、この「未来への希望」を単なる綺麗事ではない、説得力のあるものにしていた。
 それは、「地球温暖化を阻止すると金が儲かる」という、無知なぼくからすると、まったくあたらしい発想だった。だって、地球温暖化が起きたのは先進国が地球のことも考えずに利益と便利さを追求し続けたことが原因なのだ。車、石油、工場、森林の伐採…。アメリカが今だって京都議定書に批准しないのは、それが資本主義を、今までアメリカが突き進んで来た道を真っ向から否定することになるからだ。地球温暖化を阻止しようとすることは、金が儲からなくなることだったからだ。ところが、アル・ゴアの
提示したあたらしい発想はまるで逆だったのだ。
「地球温暖化を阻止すると金が儲かる」
 彼はそのことを、地球にやさしいハイブリット車の開発で莫大な利益を上げた日本の自動車メーカーを例に挙げて、説明していた。最後には、
「これからの時代にさらなる利益を上げたいのなら、地球温暖化を阻止するあたらしい価値を開発することだ」
 アル・ゴアは根拠なくアメリカを、先進国の人間を信じているわけではない。儲かるためだったら何でもする、何でもしてきた先進国の愚かな人間らしさを信じ、その愚かさを地球環境のために利用しようというのだった。ぼくは思った。「不都合な真実」とは、この「先進国の人間は利益のためだったら何でもする」という真実だったのではないか、と。
 映画「不都合な真実」。
人類の未来にとって重要な問題である「地球温暖化」をわかりやすく理解させてくれる点でも良い映画だったけど、何よりぼくが感動したのは、そこで単に「CO2の排出量を減らせ!」と自動車メーカーの前で叫ぶ「北風」のような映画じゃなかったってこと。
「自動車メーカーさん、もっと儲ける方法教えましょうか?」という「太陽」のようなアプローチで、問題の解決を促す映画だったことだ。
 先週、これまた意外なマネー術を披露した福山さんも言っていた。
「小原くん、投資するなら、これからは環境ファンドだよ」
 先進国の人間は己の利益に支配された愚かな生き物だ。でも、その愚かさも利用の仕方によっては、あかるい未来を創り出すことができる。「不都合な真実」は、ぼく自身も含めた金にまみれた愚かな人間たちにすら「希望」を抱かせてくれる、素晴らしい映画だった。

小原信治
投稿時間:2007-03-08 18:15:37
 
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