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2007年3月
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3月1日 小原信治の草の根広告社
37歳だけど、17歳。
 
 しみったれた焼鳥屋のカウンターで安いコップ酒片手に「あの頃は良かったよな」なんて、昔の友達としみじみするような大人にはなりたくない。17歳の頃、ぼくはずっとそう思っていた。
「久々に飲み行かね?」
 そんな突然の電話で、先日、高校二年のときの友達と飲みに行った。ぼくと同じ37歳。地元で健康食品の会社を経営している、妻子ある大人だ。
「小原、小原、飲む前にこれちょっと試してみてよ」
 横浜にある行きつけのアメリカンダイナーで乾杯した後、そいつが鞄の中から、自社製品の「キュキュンバ」と書かれた緑色の箱を取り出した。アルコールの分解速度を速めるキュウリのエキスだけを抽出したサプリメントなのだという。
「これ飲むと明日酒残ってなくてラクだからさ」
「あぁ、そう」
 言われるがままそのキュキュンバとやらをビールで流し込みながら考える。ぼくらはいつから明日のことを考えて酒を飲むようになったのだろうと。かといって無茶な飲み方をしていたあの頃が懐かしいかというと、そうでもない。飲むたびに次の日の朝は二日酔いで頭がガンガンしていたのを思い出すたびに、こんな風に終電も財布の中身も気にせず、スマートに酒を楽しめるようになった今の方が良かったと思う。
 昔話ではなく、今の話。家族の愚痴ではなく、胸を焦がすような恋の話。それだけで本が一冊書けそうな珍しい人生経験。互いのそんな話を披露し合いながら、ビールからワインにチェンジした頃、そいつが呟いた。
「最近、同じ年頃に一緒に飲んでもこんな風に話できる奴がいなくなってきてさ」
「確かに。みんな大人だもんな」
 ぼくはそう同意する。
「ええ?みんな子供だからじゃね?」
 そいつが目を丸くする。でも、ぼくらが同じ事を言っているのに気づくのに、さほど時間は掛からなかった。簡単に言うとこうだ。社会人には二種類ある。リスクのある立場で仕事をしている奴とそうでない奴。ぼくやそいつのように、「好きなことしかやりたくないもん!」と好きなことを仕事にしている人間にはワガママな子供のような奴が多いけど、大抵の場合、そのワガママを貫く為に人を雇ったりしていて、そのリスクが社員の家族にまで及んでいることを十分に理解している責任ある大人でもある。
 一方、雇われている人間の中には「好きでもない仕事」でも家族を養う為にと割り切ってやっている大人が多いけど、彼らは何か不利益を被ると会社や社会や世間のせいにする無責任な子供でもある。彼らの口癖は「しょうがない」。そういう人は大抵、昔の友達に会うと、ビール片手に遠い目をして「あの頃はさぁ」と昔話を始める。たまにはそういうのも同窓会気分で悪くないけど、そういう人とは人生哲学や仕事というものの深さを共有することができない。子供だけど大人なそいつの言う「話ができない」とはつまり、周りにいる同じ年頃にそういう、大人だけど子供な奴が多いということだ。
「おれはともかく、お前がそういう大人になるとは意外だったなぁ」
 ぼくは言った。実はそいつとは高校時代は同じクラスだっただけで、特別に仲が良いというわけではなかった。そいつは高校時代、テニス部のモテ男で絵に描いたような青春を送っていた(少なくともぼくにはそう見えていた)。
「バカ騒ぎの青春なんて、あの頃は良かったと振り返る材料にしかなんねーのに」
 そんな彼らを横目に見ながら、「金」が欲しくて、「自由」になりたくて、ひたすら明日の為に金を稼ぐことに躍起になっていたあの頃のぼく(自著「欲望セブンティーン」参照)からみると、そいつは絶対に、将来は昔話をする大人になっている典型のような気がしていたのだ。
 共通の同級生を通じて一緒に飲むようになったのは社会人になってからだし、ましてや二人だけで飲むなんてその日が初めてだったけど、20年の時を経て、同じ教室にいたそいつとこんな風に新鮮な感じで酒を飲めることがうれしかった。
「いやぁ、久々に話ができて良かったよ」
 満面の笑みでぼくにそう言った後に、
「ところで、ちょっと広めて欲しいサプリがあるんだけどさ」
 と、仕事の話も忘れない小狡さがあることも。
 しみったれた焼鳥屋のカウンターで安いコップ酒片手に、「あの頃は良かったよな」なんて、昔の友達としみじみするような大人にはなりたくない。37歳の今でも、ぼくはそう思っている。
投稿時間:2007-03-01 17:44:39
 
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