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2月22日 小原信治の草の根広告社
悪い夢。

 夢の中でぼくは電車に乗っていた。普段乗り慣れない通勤電車だ。なぜかぼくのいる車両だけ空いていた。がらがらのシートに座り、朝なのになぜか強い西日に晒されていた。切符を買う窓口で「女性専用車両が空いてますから、そちらへどうぞ」とキレイな女性の係員に言われたことを思い出して、「なんで女性車両なのに俺、乗れるんだろう?」と改めて疑問に思った。でも、次の瞬間には過ぎ去ってゆく景色の彼方に消えていた。
 扉一枚隔てた隣りの車両の男と目が合った。目が合った瞬間、その男が何をするのかが分かった。すぐにぼくはその決定的瞬間を見なくて済むように目を反らした。窓を開ける音がする。レールを駆る音が風とともに飛び込んで来る。たくさんの人がいるはずなのに、悲鳴は聞こえなかった。ただ、金属が軋むような音とトマトが潰れるような音がして、シートに座っていたぼくの半袖の右腕に生暖かいものが飛び散った。目を開けると、それは電車から飛び降りてバラバラになって死んだ男の赤い血だった。ぼくはその男を殺したのが自分であることに気づいていた。

 今朝そんな夢を見た。朝刊を見ると、日銀の公定歩合引き上げの記事。景気が良くなったからというのが大まかな理由だ。でも、景気の善し悪しはあくまで国民全体の平均値でしかない。かつてアメリカが持てる者と持たざる者の格差を広げることで景気を回復したやり方に習い、平均値を上げただけに過ぎない。そんな中での金利引き上げ。預金の利子が上がって得をする人もいるが、借金の利子が上がって損をする人もいる。夢の中でさえ、本来乗れないはずの女性専用車両に特別待遇で乗っていたぼくは、間違いなく前者だ。東京で同じような人種に囲まれて仕事をしている時にはそのことに気づかない。でも地元や地方で「景気が悪くてさ」という話を聞くたびに自分が、とりあえず今は持てる者の側にいることをはっきりと意識する。そして、どうして同じようにできないのだろう、と思ってしまい、そんな自分に吐き気を催す。自分はたまたま「うまく乗れている」だけだ。でも、「うまく乗れない人」に、「うまく乗るコツ」を教えても、できない。「車やバイクやサーフィンと同じだよ。目の前を見じゃなくて、遠くを見ればうまく乗れるよ」そう言っても、運転やサーフィンがうまくならない人と同じで、できない人はいつまでたっても「うまく乗ることができない」のだ。そんな人たちから見ればぼくは「うまく乗れている」ように見えるのだろう。本当は水の底で必死で足掻いているのに、水面上は優雅に泳いでいる水鳥のように見えるのだろう。そんなぼくは、日銀の金利引き上げで、きっと少しだけ得をするのだろう。
 ぼくがこの世界のどこかにいる誰かを幸せにしたい、誰かを救いたいと大義名分で、身近な誰かを傷つけ、身近な誰かを蹴落とし、身近な誰かを不幸にして、犠牲にしながら、掴んだお金で。確かにそうすることでお金と自身の満足感とで一瞬は気持ち良くなる。と同時に、そんなことをしている自分に吐き気を催す時もある。それでも続けているのは、富や満足感を得たところで「何かが足りない」という欠落が埋まることはないからだ。だからまた、誰かを傷つけると分かっていながら、犠牲にすると分かっていながら、不幸にすると分かっていながら、今の生き方のまま足掻き続けるしかない。
 
 少なくともぼくは今、新時代のバブル景気の中にいる。東京ではなく、できれば地方でお金を使いたい。落としたい。世界の誰かの心を救うなんて目に見えないモノじゃなくて、夢の中で電車から飛び込んだ男のような人を少しでも金銭的に救って、気が楽になりたいだけなのだけれど。だって、あんな後味の悪い夢、二度と見たくないから。

小原信治
投稿時間:2007-02-22 17:48:44
 
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